「3000円、ラスト」立ちんぼ売春で生き延びる歌舞伎町の少女たち~19歳・リコ(仮名)の場合~
「補導されたこともあるし、児相(児童相談所)に入れかけられたこともあるけどね、逃げたよ。少し前までは、風俗店の寮に入ってたけど、殺人事件絡みで店が潰れて、追い出されちゃった。行くとこないよ、マジで」
2014年、4人の女性が一人の女性をリンチし殺害するという事件が起きた。リンチの様子を動画で配信していたという衝撃的な犯行が報道等でも明らかになっているが、その全貌はあまりにも救い難いもので、詳細を報じるマスコミは皆無だった。事件の現場となったマンションは、一部屋に3人から4人ほどの女性が生活しているような風俗嬢の寮であり、リコも別フロアの部屋に、複数の女性と暮らしていたことがあったという。
「犯人のうち数人も、未成年のうちから立ちんぼやってたよ。ホスト狂いで風俗もやってた。被害者もやってたんじゃないかな。みんな生きるのに必死だからね、ちょっとおかしくなってんじゃん? ウチも人のこと言えないけどね」
中華料理店を出た私は、リコに取材の謝礼として5000円を手渡し、その場を立ち去ろうとしたが……。
「そういうの、マジでムカつくんだけど! ヤリてーんだろ? いい人ぶってんなよ、死ねよ! 何が取材だよ、面白おかしく書くんだろ、クソが!」
取材なのでホテルまで行く必要はないし、買春する気もないと何度も説得するが、理性を失ったように罵声を浴びせかけてくるリコ。やっとの事で解放された時、リコは私から2万円の現金をむしり取っていった。
「お前さ、ウチらのこと可哀想とか思ってんだろ? マジ失礼だから。買う気がねーなら、最初からメシなんか食ってんじゃねえよ!」
少女たちにとって「売春」は、その日を生き延びるための手段、そして仕事である。彼女たちの置かれた環境が気の毒だと、大人や周囲が囃し立て、哀れみの目を向けるのとは対照的に、少女たち自身は、自分を悲しい存在だとは思っていない。
――ただその日を生きるのに精一杯なのだ。
【伊原忠夫】
元週刊誌記者。性犯罪事件を多く担当。現在はフリーランスのウェブ編集者として、様々なネットメディアで活動中。
<取材・文/伊原忠夫>
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