エンタメ

高橋一生が「長い下積み」から脱出って…TVでメジャーになることだけが“ブレイク”なのか?

マスコミの文化への理解は田舎のおじさんレベル

 昔、勝村や筧に対するマスコミに憤慨してエッセーに書いた時は、アーティスト系の人達から賛同する手紙や言葉をもらいました。クラシックとかバレエ、ジャズダンスの人達です。  彼ら彼女らは、テレビでブレイクする可能性はほぼないと言えます。国際的なコンクールで優勝するとか、大学の先生になるとか、なんらかの権威がないと、マスコミは評価しないまま、「ずっと下積み」と表現されてしまうと、多くの人は苦渋の表情をしていました。  今回、僕のツイートに、「声優さんもそうです!」という返事が多く返ってきました。お気に入りの声優は、もうすでに声優界で充分メジャーなのに、ただ、テレビに出ていないというだけで、「マイナー」とか「売れてない」とか書かれるという現状を憤慨していました。  テレビで売れるのは、基本的に良いことでしょう。収入も増えるし、仕事の幅も広がります。けれど、それは「テレビ的に売れたこと」であって「長い下積みから脱出」したことではありません。  つまり、「テレビで売れること」が、あらゆる芸術の存在理由でもなければ、最終目標でもないのです。  ネットの時代にこんな文章を書かないといけないことが、なんとも情けないのですが、マスコミの文化に対する理解は、つまりは、田舎のおじさん・おばさんと同じレベルだということです。  故郷に帰って、親戚のおじさんとかおばさんに「俳優をやってる」というと、「なんの番組に出てるの?」と多くの俳優は聞かれます。 「いや、舞台を中心にしていて、テレビにはあんまり出てないんだ」と答えると「なんだ、売れてないのね」とか「テレビに出ないと俳優じゃないよ」と言われるのです。アートの価値が、テレビだけの人達です。こういう人は、もちろん、今も多いですが、それをマスコミがなぞってどうする。  ああ、バンドマンからも「よく言ってくれた」のツイートがありました。音楽もまた、テレビを最終目標にしない人がたくさんいるのです。 ※「ドン・キホーテのピアス」は週刊SPA!にて好評連載中
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