「文春砲」は日本の文化を変えた!? 二股恋愛の演技を嫌がる俳優と、感じた息苦しさ
― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―
オープンワークションプという先着順のワークショップを年に数回やっています。
イギリスに留学した時、演劇人達が「演劇人として社会に還元しよう」とさまざまな活動をしていることを知りました。税金で文化的に助成されているのだから、お返しにスピーチ術だのコミュニケイションのテクニックだのを演劇的視点で一般の人に伝えるワークショップです。
で、おいらも反省して、イギリスから帰った後、時間があるといろんな人が参加するオープンワークションプを開いています。といってイギリスに比べたら、全然、助成の金額の桁が違うので、演劇人はやさぐれててもいいとは思います、はい。
で、もう、17年ぐらいやっています。先着順ですからいろんな人がやってきます。
俳優志望者や俳優、ミュージシャン、監督やディレクターはもちろんです。『ベター・ハーフ』に出演した中村中さんは、これに申し込んでくれました。メールの申し込み者名を見た時は叫びました。
8月の今回は、「10年間、引きこもっていました」という男性が参加しました。二十代の前半から三十代の前半まで引きこもって、去年、部屋から出てきたと言いました。
いい奴でした。レッスンでちょっと周りと体が触れただけで、心底、申し訳なさそうに謝ってました。
ワークショップの最後に演技の時間があるのですが、朴訥というか純朴な人柄が滲み出ていました。
こういう男性がもてたらいいなあ、こういう男性を好きになってくれる女性はいい女なんだけどなあと思いながら見ていました。
ま、なかなか、そんなカードを女性は引かないんでしょうなあ。「僕、年上の熟女にはもてるんです」と無邪気な目で言ってました。と言っても、一回だけだそうですが。余裕のある年上の人なら、「かわいいなあ」と素朴さを愛せるのでしょう。

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