雑学

「自衛隊の航空事故が多い」と感じるワケ



 また、こういった救助航空機事故に医師などの民間人が搭乗していれば、賞恤金が支払われます。賞恤金とは、生命の危険を顧みずに任務を遂行した殉職・負傷者に功労が認められたときに、勇敢な行為をたたえ、遺族に支給される弔慰金・見舞金のことです。民間人には確実に支払われる賞恤金ですが、殉職したパイロットには、内局が「過失相殺」を提示することが多く、かなりの金額が削られてしまう傾向にあるようです。

 事故により殉職した隊員は「過失があったはず」だから、賞恤金が支払われるとしても、その責任分を相殺して減額するのです。壊した航空機などの損害について責任を問われる場合すらあります。

 自衛官が救難や急患輸送で危険を顧みず多くの人の命を救ってきたことは正当に評価されていません。任務の成功で特別な報酬や受勲を受けることはありません。どれほど成功を重ねても当たり前と流され、殉職すれば非難される。重大な責任とリスクを背負い込み殉職した隊員の遺族への賞恤金も減額支給を内局からせっつかれるのが自衛隊です。

 こんなんじゃダメです。救いがどこにもありません。

 昔の日本では、勇敢な救難航空機が墜落などの重大事故で搭乗員が亡くなられたときには、その街やその遺族たちが慰霊を行うのが普通のことでした。

 昭和37年、奄美大島で、子宮外妊娠で大量出血を起こした女性に血液を運ぶため、海上自衛隊第1航空群所属のP2V 4628号機が悪天候のなかを飛び立ち、山林に激突して乗員12名と住民1名が亡くなりました。自衛隊航空機事故で最大の犠牲者を出す痛ましい事故でした。事故から50年余りたっていますが、地元青年会議所や市民の皆さんが今も慰霊祭を行っています。昔の日本の心を残す奄美大島の島民のように、自衛隊機事故に心からの追悼を捧げつつ、自衛隊の救難に携わる人やご家族のご苦労が報われるようにとお祈りいたします。

 政府は殉職された隊員のご遺族に減額されない賞恤金を支払ってあげるべきです。黙祷。<文/小笠原理恵>

国防ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰
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