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ストレス解消でポチっ…読む時間もないのにキンドルには1000冊の電子書籍が【鴻上尚史】

― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

kindle 「女の人がストレス解消に買い物をする」というのがちょっと前まではどうにも理解できなかったのですが、最近は、ようく分かります。

 原稿を書いてて、気分転換をしたいと思うと、つい、アマゾンを開きます。

 で、本を買いたくなります。アクセサリーとか服とか時計とかはどーでもいいのですが、本は欲しくなるのです。読む時間なんか全然ないのに、あれもこれも欲しくなります。

 今までは、「いや、これを買って、どこに置くんだ? 仕事部屋はまた、ドロボウが入った直後みたいな散乱状態になっていて、床はもう2年ほど見えず、本を買っても置く場所なんかないぞお」という自分への突っ込みで、なんとか「買い物衝動」を押さえていました。

 が、キンドルです。電子書籍です。持ってます?

「キンドルだと、ダウンロードするだけなんだよ。なんにも場所も取らないんだよ。ほらほら、買えばいいじゃん」という悪魔の声が響きます。

 で、気がつくと僕のキンドルには、1000冊ほどの書籍が入っているのです。

 だって、買っても買っても、部屋が散らからないんだもんね。

 でもね、そんなに買って読めるわけないのです。死ぬまでに、間違いなく読めません。でも、ストレスがたまったり、旅に出たくなると、電子書籍をポチッとするのです。その時、なんか、ちょっとだけ、ストレスが消えるような気がするのです。

「ああ、これかあ。これが、女の人が買い物をしたらスーッとするって言ってるやつかあ」と、最近、しみじみしています。

 アマゾンさんは親切で、「あ、これ買おうかなあ」と思って、ポチろうとすると、「お客様は、2016/4/26にこの商品を注文しました」と教えてくれるのです。

 場合によっては、「2010/2/20」みたいな場合もあって、「おお、俺は7年も前に買っているのか!?ということは、キンドルのこのクラウドという雲の奥深くのどこかにあるはずなんだ。どこだあ!」なんて状態になるのです。

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親切すぎるキンドルさん

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この世界はあなたが思うよりはるかに広い

本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録





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