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現役レゲエ歌手・leccaではなく2児の母として都議選に挑む――都民ファーストの会・斎藤礼伊奈の本気度は?

「働く母親」にとってハードな現状を変えたい

 2児の母であり、自らの子供もいわゆる“待機児童”だったという斉藤は、政治家として「子育て」や「保育」には、とくに力を入れたいという。さらに、「現在の日本社会は、働く母親にとってかなりハード」だと指摘し、働き方改革にも意欲をみせた。 「女性が男性と同じくらい活躍し、また子供も持てるように、というような子育て支援は90年代からありました。しかし、現実は、仕事で無理をしてしまい、妊活や不妊治療で苦労したり、女性特有の病気になったり、身体をこわして30代に離職したりする方が、私の周りでも少なくない。こうした問題を、子育て政策や働き方改革で解決していきたいです」  女性として、働く母親として、斉藤だから気づくことができる日本の論点がある。それを街頭では、子育てにくわえ親の介護なども折り重なってくる30代~40代の自分と同世代の人々を中心に、訴えていくつもりだ。  ミュージシャンの街頭活動というと、どうしてもパフォーマンス的な面が注目される。2016年の参議院選東京選挙区に出馬した三宅洋平は、ライブと演説を融合した「選挙フェス」で話題を呼んだ。しかし、斉藤には選挙戦で歌う予定はないそうだ。 「エイベックスと契約してプロの歌手として活動している私が、普段はお金をいただいてやっているものを、街頭で無償でやってしまうと、公職選挙法違反の恐れがあるので斉藤れいなとしては、歌は歌いません」  また、いわゆる“ミュージシャン候補”と自らの違いについて、質問すると、斉藤は「私は音楽と政治を分けて考えています」と、きっぱりと回答した。 「私にとっては音楽は理想を追求し、徹底的に開かれたものです。レゲエでいえば“One Love”の精神ですね。けれど、政治は現実と向き合いながら、理想を目指す。あるべき論だけを語り、大きな理想を掲げるだけでは、議論が難しい。人員配置や予算の配分も含め、“小さい山から大きな山を目指す”発想が重要だと考えています」

政治家として生きる覚悟を見せられるか

 南多摩(多摩市、稲城市)の定数は2議席。これを、自民党現職・小磯明(65)、共産党新人・菅原重美(68)、無所属現職の石川良一(65)、そして斉藤の4人が争う構図だ。  斉藤の候補者は強敵ぞろいだ。地元の桜美林大学の元理事で自民党現職の小磯は6期目を、稲城市長を20年続けた無所属の石川は2期目を目指す。そして、初当選を目指す共産新人の菅原も、多摩市議を5期務めた過去をもつ。  選挙区の、斉藤にとっては小学校以来、長年にわたり過ごした地元だ。2006年にエイベックスからメジャーデビューし、都心に音楽スタジオを構え、一人暮らしを始めるまで住み続けた。とはいえ、対抗馬と比べると、地盤や組織が違いすぎる。  インタビューでは、女性の労働環境や、子育てや保育などをめぐる、自分の体験をもとにした、斉藤の問題意識の豊富さを感じた。それにくわえて、選挙戦で重要になってくるのは、政治家として生きる覚悟をどこまで有権者に伝えられるか、ではないか。  斉藤は「本格的に政治をやらせていただくことになった場合。いままでのようなペースで音楽活動を続けるのは無理だと思う」と政治活動に集中する意欲を見せてるが、ほかの候補者たちはもとより、政治家としての活動に主眼があり、失職するか当選するかという危機感のなかで、必死で議席を狙ってくる。  “小池人気”という追い風は吹いているのは確かだが、持ち前の問題意識と働く母親ならではの視点を生かして、多摩と東京のためにどれだけ尽力するできるのか――。  選挙戦でその熱意を充分に訴えられるかどうかが、強敵揃いの選挙区で戦い、政治家を目指す上でのポイントになってくるだろう。 〈取材・文/河野 嘉誠〉
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