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8年働いても手取り18万円の保育士が、月収15万円でもフリーランス保育士になった理由

 保育士といえば、「激務薄給」と言われる職業の一つとして世間からも認知されているだろう。
「保育士数」と「保育士の年収」推移

保育士数、年収共に年々増えているはずだが…(画像:厚生労働省)

 東京都港区や杉並区では待機児童がゼロになるなど、待機児童に対する対策は講じられているが、子どもたちを預かる「保育士」の問題はどうかというと、未だ現場の問題は改善されていないという。

丸8年働き手取り18万…子ども好きな人ほど続かない保育の現場

 今回話を聞いたのは、都内で公立保育士をしていたものの、現在はアプリ経由でベビーシッターの仕事をもらう、「フリーランス保育士」の女性だ。
丸山カナさん

丸山カナさん

 その女性、丸山カナさん(仮名・29歳)は2018年度末で、短大卒業から8年間続けた公立保育士を退職した。 「8年間やって、手取りは18万円でした。家賃の支給などもありましたが、それでも東京で普通に暮らしていこうと思うと、貯金には手が回らないのが現実でした。でも、給料の低さは退職の一つの原因にしか過ぎなくて、最もストレスだったのは女職場のしんどさだったと思います」  どんな職場でも人間関係の悩みは多かれ少なかれあるだろうが、保育士特有のストレスがあったという。 「職場となる保育園は基本的に女性ばかりですが、例えば行事などで発生する力仕事も、電球替えも虫の駆除も全部女性がやるんです。私の園には用務員さんもいなかったので、力仕事は若い先生たちの仕事でした。  私の手取りを聞けば分かるように、給料の上がり率もよくないですから、先輩の先生がとにかくスレてるのがキツかったですね。子供にあたってしまう人もいましたし、自分のクラスの子がそういう先生に当たられてるのを見るとはらわたが煮えくり返っていました。  自分のした保育が全部自分に返ってこないのが、保育園で働いている時のツライところでした。合同保育の時に自分が他のクラスの子に教えたことが、いつの間にか担任の先生の功績になっていることもあります。保育と子どもが好きな人ほどしんどい思いをする保育の現場が嫌いでした」

フリーランスのベビーシッターを選んだ理由

 丸山さんは都内の市立保育園に勤めており、地方公務員の扱いでの職種だったが、その肩書を捨てるのに悔いはなかったという。 「公務員は安定してるなんて言いますけど、大変なことも多かったです。だって、選挙の手伝いで土日が潰れることもありますし、市長が変わって教育方針が変わった、なんて理由で、3週間後に迫った運動会の方針を変えざるを得ないこともありました。  公務員とは言いながらも、役所の人からしてみたら私たち公立保育士は末端の人間です。ツライことこそあれど、公務員でよかった、と思うことは少なかったですね。強いていえば、ボーナスは私立の園の人よりもらえるくらいかな」  そうして、保育園の親御さんたちからの絶大な反対を受けながらもフリーランスのベビーシッターとして活動し始めた丸山さん。 「フリーランスで一番良かったと思っているのは、自分のした保育が全部自分に返ってくるところですね。保育園の頃のような信頼泥棒もないですし、自分と子どもの関係、そして親御さんと私との信頼関係が非常にシンプルに自分に返ってきます。  保育士時代の名残で、常に連絡帳をつけて保育していますが、親御さんによってはマメなメモを喜んでくださいます。子どもが私になついてくれれば、必然的にまたシッターとして呼んでもらえる回数も増える。自分のしたことが全部自分の仕事の血肉になるからこそ、手は抜かないですし、それがまたモチベーションにもなります」
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相変わらず薄給…夜職と二足のわらじに
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1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携ったのち、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。

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