更新日:2017年10月03日 20:44
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市販カレーが一瞬で美味くなる“ちょい足し”食材をプロが厳選――バーモントには唐辛子、ジャワには蜂蜜

「今後、カレーレシピのオープンソース化を進めたい」

 “国民食”となっているルウカレーに比べ、多く人にとってスパイスはまだまだ馴染みの薄い未知の存在だ。 「私は、スパイスはこれからハマる人がますます増えると睨んでいます。例えば、四川料理の山椒は10年前の日本人は苦手だったのに、あのビリビリくるシビれが流行って、いまやコンビニのカップ麺でも使われています。同様に、いまインド料理などスパイスの効いた料理が外食産業で広く流通し始めています」  日本人の食体験が拡張してきた中で、スパイスが一般家庭に普及する流れはある意味必然なのかもしれない。だが、レシピによっては2種類のカレーを作るのに17、8種類のスパイスを買わなければならないことも珍しくないため、ややハードルを高く感じる人も多いだろう。  そこで現在、水野氏が特に注力しているのが、『AIR SPICE』というスパイスの通信販売サービス。カレーレシピと一緒に4人分のスパイスが使い切りの分量でセットされ毎月届くというサービスで、スパイスカレーへのハードルが格段に低くなっている。  しかもカレー屋の生命線となるスパイスの配合は企業秘密なのが普通だが、『AIR SPICE』では全てグラム単位で公開しているので、気に入ったレシピは自前でスパイスを用意してもよい。

昨年春から始めた『AIR SPICE』。ユーザーからは「一回で天才になった」というコメントも

「『あのお店のカレーを再現』的な記事がグルメ雑誌でもありますが、たいてい大事なところは隠しています(笑)。でも僕は囲っても楽しくないというか、スパイスカレーを外食産業で終わらせず、今後はもっとカレーレシピを“オープンソース化”したいんです。  ネットでレシピを公開すると色んなフィードバックもあるし、試しに作って美味しかったらいつかお店にも来てくれるはず。レシピで言語化できないところにこそ、お店の本当の実力があるんです。玉ねぎを10分炒めるか15分炒めるかは極論どっちでもいい話。たとえば、木ベラの回し方で火の入り方も変わるんだから、その木ベラの回し方がシェフの実力、そのお店の味と考えるのが普通なんですよ■水野仁輔(みずの・じんすけ) カレーのスペシャリスト。これまで出版してきたカレー本の数は40冊以上。1999年に出張料理集団「東京カリ~番長」を結成。カレーに特化したコンテンツ創造プロジェクト「カレー計画」で、様々なプロジェクトを立ち上げている。 糸井重里氏から「カレースター」の肩書をもらい、現在、ほぼ日と「カレーの学校」で授業を行っている。このたび、本格カレーが作れるスパイスセットを届けるサービス、「AIR SPICE」をスタートした。http://www.airspice.jp/ <取材・文/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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