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スナックにはビジネスで成功するための要素が詰まっている SHOWROOM創設者・前田裕二インタビュー

8歳で両親を失い、生きるために小学生時代から路上ライブで収入を得るしかなかった前田裕二。その原体験から生み出されたのが、無料で誰でも配信&視聴ができるライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」だ。’13年にサービス開始以来、会員数は200万人を突破。スマホアプリのエンタメ部門でトップを独走し、AKB48プロデューサーの秋元康氏をはじめ、各界の著名人から注目を浴びる。外資系金融マンという肩書を捨て、インターネットという次なる路上で“世界一”を目指すことを決意した若手起業家の野望に迫る!

前田裕二――まずは、SHOWROOMのサービス内容について教えてください。

前田:SHOWROOMは、芸能人から一般の人まで誰でも参加できる生放送配信サービスです。視聴者は無料で視聴ができ、20万人近い演者のなかから、自分が好きな人を選び、応援することができます。

――特徴的なのが、配信者へ無料・有料で応援ができる「ギフティング」というサービス。かなりの売り上げを稼ぐ配信者もいるそうですね。

前田:月1000万円ほどの売り上げをあげている人もいます。例えば、アイドル志望で40代後半のちづるさんは、30年前に抱いた「おニャン子クラブに入りたかった」という夢に再挑戦する姿が人気を博しています。

――40代後半の女性にそれだけのファンがつくというのは既存メディアだと、かなりレアなケースですよね。

前田:SHOWROOMでは、恵まれた人ばかりではなく、努力した人が平等に脚光を浴びる世界をつくりたかったんです。実は、「スナック」を参考にビジネスモデルを組み立てています。

――スナックとライブ配信の共通点とは?

前田:最大のポイントは、スナックではモノではなく、人や絆が売り物になる点です。スナックの接客や料理って完璧ではないですよね。簡単な手作り料理や乾きもので、決してクオリティは高くない。サービスだって、ママが先に酔っ払って寝たり、客に自分で酒を作らせることもある。でも、そうしたお客さんが介在する“余白”があるからこそ、「自分が店を支えなくちゃ」「ママを応援しなくちゃ」という気になって常連になるし、「今月は売り上げが悪そうだからボトルを入れようか」と率先して売り上げに貢献するんです。

――一見、はやってなさそうでも、なかなか潰れないスナックが多いですが、この現象がSHOWROOMでも起こっていると。

前田:SHOWROOMでは、まさにママと常連客の関係性と同様に、演者と視聴者の間にインタラクティブなやり取りが介在します。例えば、普通のアイドルにはアドバイスなんてできませんが、SHOWROOMなら応援しているアイドルに「髪形を変えたら人気が出るかも」「こういう企画をやってみたら?」などとアドバイスでき、実際彼女が言葉どおりにしてくれることもある。それは、これまでにない体験ですよね。

――すべての人がプロデューサー感覚を味わえるわけですね。

前田:そう。すでにでき上がった「他人の物語」を受け取るよりも、仮に完璧でなくても自分がコンテンツに介在できる「自分の物語」のほうが、得られる充足感は高いですから。

――ほかにも共通点はありますか?

前田:SHOWROOMの演者とスナックのママが似ているのは、常に自分を肯定する存在でいてくれる点。仕事が辛いときも彼女にフラれたときも、「私はアンタのいいところを知ってるから大丈夫よ」と寄り添ってくれる。現実社会では人と触れ合わなくても生きていけても、やはり根源的に人は誰かと繫がりを持たないと生きていけない。そのニーズをスナックもSHOWROOMも満たしているんじゃないかと。スナックには、現代のビジネスで成功するための要素が詰まっていると思いますね。

※このインタビューは8/22発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです

【前田裕二】
’88年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、UBS証券へ入社。’11年からNY勤務となり、株式セールス業務に従事。’13年にDeNAに入社。ライブストリーミングサービスSHOWROOMを立ち上げ、’15年に株式会社化。初の著書『人生の勝算』(幻冬舎)を発売

取材・文/藤村はるな 横山 薫(本誌) 撮影/寺川真嗣

週刊SPA!8/29号(8/22発売)

表紙の人/ 岡田准一

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