『孤独のグルメ』スタッフが選ぶ、思い出の名店ベスト3 閉店してしまった店も…
Season7が放送中のドラマ『孤独のグルメ』。テレビ東京の深夜ドラマとしては異例のロングシリーズとなった『孤独のグルメ』は、なぜここまで愛され続けるのか? 今回は『孤独のグルメ』の店探しをするスタッフたちが、特に思い出深いという3店のエピソードを紹介する。
地元の人ですらなかなか知らないという名店「武田」は大阪出身のスタッフが見つけてきた店だ。
大阪出張中の五郎は、「そうだ、大阪名物を食わずして、東京に帰ることができようか」と「どて焼」と書かれた暖簾のかかる屋台へ。フライヤーは串カツを揚げる準備万全で、鉄板にはどて焼が並んでいる。「二度づけ禁止」と心でつぶやきながら、ソースに浸して串焼を口に放り込んでいく。「串かつのウスターソースは大阪人の血液だ」。五郎はそう思いながら、しみじみ噛みしめる。
屋台ながら、タネの種類は豊富だ。ヘレ肉と興味を引かれたニラ巻を注文する。ニラは、瑞々しさを湛えたまま甘さが口にただようのだ。感動しきりの五郎。お次は紅生姜だ。かぶりつくと、特有の酸味はなく、甘い。今度はどて焼き。おろし金で生姜をすって提供される。七味をふって、パクリ。味噌に、生姜がいいアクセントだ。気づけば新規の客がこんにゃくを注文。気になり、五郎も注文する。こんにゃくはどて焼きの鉄板にのせ、味噌をかけて、提供するようだ。さらに、うずらとウインナー、ナス、砂ずり、ハムを次々と注文。旅先で解放された五郎の食欲は止まらない。再びどて焼きとヘレを注文する……。
思いもよらぬ場所で、地元の美味と出合う。まさに『孤独のグルメ』の醍醐味といえるだろう。
原作の“一人焼肉”をどうしても再現したいという想いから、なんとか撮影にこぎつけた「つるや」。
舞台は原作と同じ川崎。お得意さまを車で送った後、京浜工業地帯を通った五郎は、「まるで巨人の内臓がむき出しになっているようだ」と煙が立ち上る工場に思わず見入ってしまう。やがて空腹になり、頭に浮かんだのが焼肉。焼肉を求めさまよううちに見つけたのが、八丁畷駅近くの「つるや」だった。「つるや」は新鮮な肉と秘伝のタレにファンが多い創業46年の老舗で、内臓系のメニューが充実。
店に入るとカウンター席には古くて小さなロースターが。ロースターと対峙し自分のペースで好きなように焼肉を楽しめる、“一人焼肉”にうってつけのお店なのだ。
まずはカルビを食べて「うまい! いかにも肉って肉だ」と納得した五郎は、ハラミや小腸のコプチャン、キムチなども白飯とともにどんどん胃袋に収めていく。
それでも食べ足りない五郎は、ジンギスカン、常連客が注文する名物メニューのシビレ(胸腺)も追加注文し、上着を脱いで本気食い。テンションがマックスになったところで、「俺の体は製鉄所。胃はその溶鉱炉のようだ! ウォ~ン! 俺はまるで人間火力発電所だ!」という原作の名ゼリフも飛び出した。うまい焼肉を本能のままに一人で食らいたい。そんなときはぜひ足を運んでみては?
串カツ どて焼 武田<Season6第1話>
つるや<Season1第8話>
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