補欠は全員、監督に殴られる…「ブラック部活」の理不尽な指導
結局どうしてもその暴力に耐えられなくなった私は親に相談しました。親は学校に行くと言ってくれたんです。でも、それで部活が停止してしまうような迷惑を補欠の私がするわけにはいかない。私はスポーツ推薦でその学校に進学していたので、退部と同時に退学することになりました」
暴力の他にきつかったことはなかったのか?
「休み時間などは他の部活の生徒と口を聞いたらいけなかったんです。休み時間はダッシュで行動しないといけないとかの決まりもありましたね。まったく理解できなかったんですが、それが普通なので私だけ異論を唱えることなんてできませんでした」
Sさんは今でも高圧的な男性が苦手なんだとか。「目を見ながらビンタしてきたあの顔が、暴力を受けた過去が、今も消えてくれない」と語っている。他にも卒業して間もない、関東の野球部に所属していた現在22歳の男性に話を聞いたところ、「監督からは体罰こそないものの、存在を否定されるような言葉の暴力は当たり前。みんな耐えているからという環境が、自分が入部する前からある。そこを変えようなんて、よっぽど心が強いやつじゃないと無理」と言う。集団行動が作る“浮きたくない”という闇の部分が部活にはあるのかもしれない。〈取材・文/藤 文子〉
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―[ブラック部活]―
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