麻原彰晃の散骨は国がやるべき?葬儀業界から見た懸念
私が最初不思議に思ったのは、四女側の散骨費用は国が負担して欲しいという主張です。
海への散骨費用の相場は、完全に船をチャーターする場合は25万~30万円ほどです。しかし関係者が同行せず、期日も全部業者任せにして良いのであれば、粉骨料を含めて10万円ほどです。
これくらいの費用ならなんとか捻出できそうなものです。それでも国に負担を求める理由は以下の2つが考えられます。
1)自分の責任を回避する
仮に四女側の主導で散骨を行うことができたとしても、将来にわたって信者の恨みを買うことは確実です。それは避けたいでしょう。四女側にとって散骨の主体は国でなければならないのです。
2)引き受ける散骨業者がいない
火葬は刑務所の出入りの葬儀社がいやいやながらもやるでしょう。しかしお葬式はやっかいごとを避けるために、どこの葬儀社も引き受けないでしょう。
散骨も同様です。専用の船を持つ散骨業者は何社かありますが、引き受けたら最後、最悪の場合襲撃を受けないともかぎりません。また麻原の散骨を引き受けたことが表沙汰になれば商売にも影響するでしょう。つまり引き受ける業者はいないのです。
そうなると残るは国有の船を使うという選択肢しかありません。例えば海上保安庁なら最も安全に散骨を行えるはずです。最終的に、四女側はこのようなプランを描いている可能性があります。
以上のように考えてくると、一見突飛に見える四女側の主張も、落としどころとしてはこれ以外にないのかもしれません。<文/赤城啓昭>
麻原彰晃の散骨は可能なのか
―[考える葬儀屋さん/赤城啓昭]―
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