仕事

調子こいたベンチャー出身24歳が、大企業で通用しなかった理由

サラリーマン「直属の上司が特別厳しかったというのもあるのですが、これまで僕が抱いていた仕事というイメージを根本からくつがえされました。ベンチャー時代は自分のデスクにある椅子に、ほとんど寝転がるようにもたれかかりながら仕事をしていたんです。実際にそういう人も多かったですし。  ですが、転職先でそうやって仕事をしていたら、ものすごく怒られたんです。“お前は態度が悪い”と。あと、前職では当たり前だった音楽を聴きながら仕事をすることも認められなくて。“仕事を舐めてるのか”のようなことを言われた記憶があります」

「営業先の偉いおじさん」に「そ~っすよね~!」

 もちろん業界にもよるが、確かに大企業は社風の堅い会社も多いだろう。ベンチャー時代に染みついた常識は、転職先では非常識と捉えられてしまったようだ。だが、吉山さんがぶち当たった壁は他にもあった。 「情けない話なのですが、ビジネスにふさわしい言葉が全然わからなかったんですよね(笑)。営業の経験はありましたが、web系の企業だったこともあってか、取引先の企業もゆるいところが多く、どこかラフな感じで行っていたんです。  転職先ではスーツをビシッと着て、お堅い企業へ行ったりもしていたのですが、まあひどかったですね。先方のそこそこ偉いおじさんに、“そ~っすよね~!”って言ってしまったときのあの空気は忘れられません(笑)。そういうことが何度かあり、一度とある企業からプチクレームみたいなものが来たことで、先ほど言った厳しい上司に怒られ、仕事のできない若い奴というレッテルを貼られました」

結局、前いたベンチャーに出戻り

 ベンチャー企業ではその他の企業に比べ、研修体制などはしっかりしていないという話はよく聞く。吉山さんは新卒入社組ではなく、インターンから直接入社したこともあり、基本的な社会人のイロハが分かっていなかったという。こうした挫折もあり、結局すぐにその大企業を退職した吉山さん。その後は以前いたベンチャー企業に出戻りしたそうだ。 「やっぱり、適材適所という言葉はズバリだと痛感しています。ベンチャー企業に戻りましたが、そこでは実績をあげられているので(笑)。ただ、一度大企業に転職してみたのは本当に良い経験でした。自分の至らないこともたくさん知れましたし、絶対にベンチャー企業からは出ない! と心に誓えましたし(笑)」   彼を生かせなかった大企業の側にも問題はあったのだろう。ただ、「仕事ができる」という定義はとても難しい。特殊な技能を求められる専門職でもない限り、何をもって仕事ができると判断されるものなのだろうか。  今回吉山さんの話を聞いた限り、仕事ができる会社員とは「その会社のルールに適応し、なおかつ実績をあげられること」が第一条件だと感じた。  ある会社でまったく使い物にならなかった社員が、別の会社では凄まじい活躍をすることだってあるだろう。まさに適材適所という言葉のとおりだ。会社選びの際は、自分の能力を最大限に活かすことのできる企業を選ぶ努力をすることが大切であると感じた記者であった。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉
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