米朝首脳会談の決裂、実は日本にプラスだった!?
物別れはトランプ大統領の目論見どおり
ベトナムのハノイで開催された米朝首脳会談が予想外の“決裂”に終わった。2日目の2月28日午前までは金正恩朝鮮労働党委員長が「(非核化の意思が)なければここにはいない」とまで話して交渉の進展に期待が高まったが、数時間後には事態が一転。予定されていた昼食会と共同声明署名式のキャンセルが報じられた。
その後の会見でトランプ大統領は「決裂ではない」と強調したが、同席したポンペオ国務長官は「金委員長に準備ができていなかった」と発言。「北朝鮮は完全な制裁解除を求めてきたが、期待通りの非核化プロセスが提示されなかったため」に、交渉を途中で打ち切ったことを示唆した。
これに対して、北朝鮮は同日夜に異例の反論会見を開く。李容浩(リ・ヨンホ)外相が「我々が要求したのは制裁の全面解除でなく、民需経済や人民生活に支障をきたす一部の制裁解除だった」と、食い違う主張をしたのだ。
融和ムードのはずが、物別れとなったのはなぜか? 拓殖大学主任研究員で元韓国国防省北朝鮮情報分析官の高永喆(コウ・ヨンチョル)氏が分析する。
「会談で、北朝鮮側が『専門家の立ち会いのもと完全に廃棄する』として提案したのは寧辺の核施設だけでした。この寧辺には濃縮ウラン工場もありますが、大半は旧式のプルトニウム再処理場や核燃料貯蔵施設です。
これに対して、米国は無人偵察機のグローバルホークや偵察衛星、協力国の諜報機関、脱北者の証言などにより、北朝鮮国内で密かに稼働している核関連施設のほぼすべてを把握している。だから、米国は完全な非核化のために寧辺だけではなく、すべての施設のリストを提示せよと迫ったのです。
そもそも、寧辺核施設の廃棄は昨年9月の南北共同宣言に盛り込まれていたものです。これだけでトランプ氏が納得するはずはないのに、金委員長は一部の制裁解除は引き出せると高をくくっていた。
その証拠に、3月1日の朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は決裂には触れず、笑顔でトランプ氏と会談する金委員長の写真ばかりを一面に掲載していました。交渉が失敗したことを国民に隠しているのです」
|
『週刊SPA!3/12号(3/5発売)』 表紙の人/ 牧野真莉愛(モーニング娘。’19) 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
【関連キーワードから記事を探す】
世界を覆い始めた「終末ファシズム」。斎藤幸平が見据える「フェーズ2」の処方箋
メディアが報じない“日米首脳会談の真実”。トランプ大統領の「非礼」と、反論を飲み込んだ高市首相の“危うい沈黙”
「狂気」は弱点ではない!ロシア・ウクライナ和平交渉に向けたトランプ外交戦略の真意/倉山満
自分で運命を決められる政治家を好むトランプ大統領…石破茂首相をどう見る?/倉山満
「相互関税導入」がアメリカ国民の首を絞める?日本は“またトラ”にどう向き合う?「高校チュータイ」外交官が「アメリカの今」を徹底解説
韓国・李在明大統領「ウリ北朝鮮」発言の波紋。知られざる“北朝鮮観”を韓国研究の第一人者が詳説
「脱北時の体重は43kg、韓国到着後は72kg」元北朝鮮軍人が語る“命がけの脱出劇”「非武装地帯を走って銃弾を浴びた」
北朝鮮のウクライナ派兵で朝鮮&台湾「ダブル有事」が勃発する!?世界大戦に発展する可能性も
18歳の日本人義勇兵が語った、ウクライナで北朝鮮兵と戦う覚悟
森保監督の采配が“進化”していた北朝鮮戦。「1点しか取れなかった」日本代表に期待しても良い理由
史上最大の仮想通貨バブルに備えよ!トレーダー&アナリストが仮想通貨市場で「安定リターン」を得るコツを伝授
欧米諸国との連携に及び腰の日本。韓国と同じ道を歩むな/江崎道朗
日韓GSOMIA電撃破棄も、日本側のデメリットはほぼなし!?
ホルムズ海峡、日本タンカー襲撃事件の“真犯人”は?
米中衝突、関税バトルの行方 チキンレースに勝つのはどちらの国?
「安倍首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦」の話が今さら出た舞台裏
米朝首脳会談の決裂は想定通り!? 誰も現状打破を望んでいない/倉山満
米朝首脳会談の決裂、実は日本にプラスだった!?
北朝鮮が大量に偽造した「'92年製100ドル紙幣」の闇
この記者は、他にもこんな記事を書いています





