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Uber Eats配達員の貧困問題。なぜ時給1000円以下でも続けるのか?

 ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円台の人たちは、過酷な環境下でどのような夏を過ごしたのか。全国各地で新たに生まれている貧困の現場をリポートした。 貧困「ウーバーイーツ」配達員

ママチャリで50km激走。一日に体重3㎏減も…

 飲食宅配代行サービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」。好きな時間、好きな地域で働ける“気軽さ”に惹かれ、この6月から配達員を始めた北野裕二さん(仮名・22歳)だが、夏は地獄だったと明かす。 「一件300円、1kmごとに追加料金がもらえるという設定。ただライバルが増えたことで短距離の配達を繰り返さなくては稼げない。一日30件、8時間かけて50km近く走ることもザラ。ご飯を食べる時間もないから、配達の合間にパンをかじっているほどで、帰ったら体重が3kg減っていた日もありました」  ランチどきが一番稼げるため、暑さの中でも配達を繰り返す。自身の昼食は、前夜に買ったスーパーの見切り品の菓子パンだ。 貧困「ウーバーイーツ」配達員

過酷な環境で稼げるのは時給1000円以下…

 頑張っても日給8000円程度。給与は翌週に振り込みされる週払いのため、使っては消えるを繰り返す文字通りの自転車操業だ。 「お金は貯まらずスピードの出るクロスバイクは買えない。乗っているママチャリも、暑さでハンドルのグリップが溶けてしまいました……」  自転車購入資金は貯まらず、日々の支出もあるため、抜け出せない悪循環に陥っているという。

それでも「一人は気楽なんすよ」

 北野さんは回転率を重視し、高層マンションやオフィスが多い地域は「玄関に行くまでに時間がかかる」と避け、比較的家賃の安い低層住宅の多い地域を中心に走っている。 「でも、たまに粗暴なお客さんもいて、『てめぇ汗クセェよ!』と言われたり、アイスが少し溶けたりしただけでブチギレられることもありますね(苦笑)」  ただ、コミュニケーション下手な北野さんは「ツラいけど、一人は気楽なんすよ」とも言い、今日も必死に街を走る。  Uber Eats配達員は自由な働き方ができる反面、アルバイト(被雇用者)ではなく個人事業主だ。労働基準法で守られることもなく、事故にあったら治療費は自己負担だ。待遇を改善するために、配達員数十人が労働組合結成の準備をしており、10月3日に設立総会が行われる。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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