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一刻も早く安倍内閣を潰したがっているのは誰か/倉山満

安倍首相に代わる人物は、誰か。山下貴司、馬淵澄夫、山本太郎、そして渡辺喜美の四人か……?

 ならば、一刻も早く安倍内閣を潰したがっているのは誰か。  ズバリ、検察庁であると読む。  日本の刑事裁判は、99.9%の有罪率を誇る。つまり、検察官に起訴されたら、無罪で助かるのは1000人に1人なのだ。日本の裁判官は、真面目に裁判をやっていないと言い切っても、何の問題もない。現実に司法権を掌握しているのは、検察庁なのである。  ただし、日常的に動いている立法や行政と違い、司法は事件が起きた時にだけ権力を振るう。ただ、裁判所は持ち込まれた事件を審査するだけだが、事件を裁判にする、すなわち起訴の権限は検察だけにある。これを起訴独占主義と言う。そして、事件を起訴しない権限もある。これを起訴便宜主義と言う。たとえば微罪の場合や、裁判で明らかに勝ち目がない場合は、警察が逮捕した容疑者を起訴しない場合もある。だが、これを悪用すれば、恐るべき権力と化す。起訴猶予だ。  明治以来、検察は独占していた起訴という武器を使って、政治との微妙な関係を続けてきた。  ところが安倍内閣7年では、検察の出番は無かった。それどころか、内閣人事局により、検察人事に安倍内閣が介入を繰り返しているとも聞く。それが本当だとすると、内閣法制局や財務省は首相官邸の介入を蹴散らしているのに比べ、屈辱的な地位に貶められたと評する外ない。  ならば、検察が安倍内閣倒閣に走ってもおかしくあるまい。  では、安倍首相に代わる人物は、誰がいるだろうか。最右翼だった、菅官房長官は、一連の醜聞への対応で急落している。  では、石破茂は抵抗が強いから、派閥の領袖級だと岸田文雄か。あるいは、本人がその気になりさえすれば、麻生太郎の返り咲きか。  しかし、いずれにしても、今の自民党に日本を率いる識見と胆力のある人はいない。そんな人はいても、浮かび上がれない政党に堕してしまったのだ。人物だけならば、山下貴司前法相は「掃き溜めに鶴」のような立派な政治家だが、弱小派閥の石破派の若手では、現実には後継候補たりえまい。  主要野党は絶望的で、ここで字数を費やす意味が無い。  ただ、イデオロギー抜きで「茨の道を歩んでいる」という基準ならば、三人あげられる。馬淵澄夫、山本太郎、そして渡辺喜美である。いずれも大政党で生きる道を捨てて、苦しい道を歩んでいる。また、経済政策への識見も確かだ。  さて、今年の日本は地獄が来そうだ。内憂外患が予想される。  情報を取捨選択し、正しく分析・評価し、自分の生活に生かしたいものだ。あらゆる学びは自分の人生のためにあるのだから。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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