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自民党が今後も常に与党で、公約泥棒も失政も許されるなら、独裁国と変わらない/倉山満

もし現代で憲政の常道に従うなら、安倍内閣は総辞職、自民党は下野、「玉木選挙管理内閣」で解散だ

 今後もこのような公約泥棒が横行するようでは、選挙の意味がない。自民党が常に与党で、いかなる失政も許されるなら、独裁国と変わらない。それでも、自民党支持者は言う。「政治は結果責任。選挙は何をやっても勝てばよい。野党に政権を渡して責任を取れるのか」と。  これは、憲法政治の母国のイギリスでは、19世紀に否定された考え方だ。時のロバート・ピール首相はそれまでの政策を変えて、反対党の公約を訴えた。これに異を唱えたのが与党一年生議員のベンジャミン・ディズレーリだ。ディズレーリはピールに向かって「公約泥棒は風呂で他人の衣服を盗むのと同じだ!」とまで演説し、遂に政権が倒れた。  政策に失敗したら与党は下野し、反対党に政権を譲り渡す。こうした慣例は我が国でも昭和初期に、「憲政の常道」として確立された。その際、第二党が政権を担うので少数与党だ。議会運営はままならない。だから1年以内に総選挙が行われ、政権の信を問うというメカニズムが働く。政策に失敗した政党が与党に居座り、人気が回復した時に解散総選挙を行って良いなどという考え方は、戦前の日本には無かった。  もし現代で憲政の常道に従うなら、どうすべきか。安倍内閣は総辞職、自民党は下野し、「玉木雄一郎選挙管理内閣」で解散を行うべきだ。  現実にはそんな事態になるはずがないが、少なくとも自民党に「減税」を語る資格が無いとだけは言っておく。  さて、属人的な話を離れて、「選択したりうる野党」の条件を述べる。  第一は、魅力ある党首だ。「この人を総理大臣にしたい」と国民に期待させる政治家でなければならない。  第二は、主要政策の一致だ。それは今の状況では「減税」による景気回復しかない。  第三は、自民党を総選挙で2回負かすまでは仲間割れをしないことだ。  自民党は連続2回負けたことが無いから、簡単に復活してきた。  国民は選択肢を求めるべきだ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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