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「帰国できない」在留外国人たちの極貧生活。職もなく放り出される悲惨

友人宅に1週間ほど滞在したところ“失踪”扱いに

在留外国人の極貧生活

保護先で在留資格の再取得を見据えて日本語を学ぶファンさん。「なんとか日本に残れるように努力してます」

 しかし、ファンさんは働き始めて半年ほどの’19年1月に“失踪”することになる。 「名古屋の友人宅に1週間ほど滞在していたら、突然、監理団体から電話がかかってきて、“あなたは失踪届を出された”と言われました。社長には行き先や帰る日を伝えてなかったので、逃げたと思われたのでしょう」  失踪扱いになれば、在留資格も更新できなくなり、いずれは不法滞在扱いになる。だが、実習先に嫌気がさしていたファンさんは監理団体に“もう戻らない”と連絡した。 「それからフェイスブックのベトナム人コミュニティで見つけた横浜の解体現場で不法就労しました。住む場所は仲介者があてがってくれるんです。4月からは栃木で足場の仕事をしましたが、多いときでも稼ぎは月17万円。失踪者には、SNSなどで誘われて手っ取り早く稼げる賭博や犯罪に走る人もいますが、自分もそそのかされたら手を出していたかもしれません」

福岡で拘留されるがコロナ禍のため仮放免

 不法就労ながらも仕事が安定したファンさんだったが、コロナ禍の影響もあり、次第に仕事が減少。’20年8月にはついに栃木での仕事がなくなってしまう。 「9月からは熊本で太陽光パネルを設置する仕事を見つけました。これもきつい仕事でしたが、最初の実習先に比べれば楽でしたね」  しかし、友人の車に同乗した際、シートベルトをしていなかったことから警察に逮捕されてしまう。 「在留資格の期限はとっくに切れていたので福岡の入管に収容されました。でも、コロナ禍で“密”になるのを防ぐためか3日で仮放免(一時的に収容を解かれる状態)されました」  見知らぬ土地に放り出されたファンさんは、支援団体にSNSで救援のメッセージを送付した。 「送ったところで電源が切れてしまい、その夜は近くの公園で寝ました。10月だったので、夜は寒さで震えて過ごしましたよ」
在留外国人の極貧生活

仮放免直後の支援団体からのメッセージ。交通費もなかったので、支援団体が急ぎ3万円を振り込んだ

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保護されて衣食住は確保されるも、自由に使えるお金は一切なし
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