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「帰国できない」在留外国人たちの極貧生活。職もなく放り出される悲惨

保護されて衣食住は確保されたが、自由に使えるお金は一切なし

在留外国人の極貧生活

施設には男性を中心に常に30人ほどのベトナム人が居住。多くが在留資格の再取得や再就職の支援を求めてやってくる

 翌日、パチンコ店で充電器を借りて連絡をし、無事に保護された。 「仮放免は就労許可がなく、稼ぐ術がありません。保護されて衣食住は確保されましたが、自由に使えるお金は一切ないんです。この年末年始も、ひたすら不安のなかで過ごしました。  今は本国にいる家族への仕送りも滞り、妻から“娘の病気でお金が必要だ”と連絡が来たら、友人からお金を借りて送っています。ベトナムで今の借金を返そうと思うと、夫婦で必死に働いても少なくとも5年はかかる。それに、借金がある身で帰ると周囲から後ろ指をさされるんです。何とか日本で働けるよう、在留資格を再取得するための相談を支援団体と続けています」  法務省によれば、日本にいる“失踪者数”は昨年7月時点で1万2000人超。その数は今も増え続けている。

コロナ禍で不当解雇が横行。困窮する在留外国人たち

「コロナ禍以前から、いわゆる“出稼ぎ”や“技能実習生”として日本で働く外国人の労働条件や賃金は劣悪でした。しかし、コロナ禍で状況はさらに悪化。日本全体で仕事が減少したことで、外国人労働者の不当解雇が横行しています」  そう語るのは在留外国人の労働問題に詳しいNPO法人POSSE代表の今野晴貴氏だ。 「技能実習生のなかには雇用主から脅迫まがいの自主退職を迫られたり、空港に無理やり置いていかれたりするケースも。彼ら自身、多額の借金を背負って来日しており、帰国のための資金もない。そもそも、現在はコロナ禍で入国制限をしている国もあり、帰りたくても帰れない場合もあるわけです。  政府も慌てて解雇された実習生に転職を認める制度を解禁しましたが、コロナ禍で転職先が簡単に見つかるはずもありません、国による研修制度なのに、解雇して放置なのはあまりに無責任です。また、留学生の場合、もともと就労は週28時間以内といった制限が設けられていましたが、コロナ不況で解雇され、その28時間すら働けないという学生も。学費が払えずに困窮している留学生が増えている状態です」  ほかにも、コロナ禍で“密”を避けるために、入管収容施設から一時的に解放された“仮放免”状態の外国人増加も大きな問題になっている。 「仮放免中は就労を禁止されているため、彼らも多くは生活に困窮しています。身寄りがないため支援団体に保護される人もいますが、支援はまったく十分ではない。そのため、不法就労に従事せざるを得ない人も少なくありません。悲惨な状況に陥っている外国人が確実に増えています」  就労も帰国もままならず、ただ路頭に迷う外国人たち。彼らへの早急な救済策が望まれる。
今野晴貴氏

今野晴貴氏

【今野晴貴氏】 NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。年間3000件超の労働や生活相談に関わり、技能実習生や難民など、外国人の相談にも対応。 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!1月19日発売号の特集「[緊急ルポ]在留外国人の極貧生活」より
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