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東大生が驚いた「聞くだけで日本史の勉強になる楽曲」ベスト3

〇「狩りから稲作へ」

稲作 まず紹介するのは「狩りから稲作へ」です。こちらは2011年3月リリースのセカンドアルバム『レキツ』に収録されています。いきなりマニアックなところに来てしまったかもしれませんが、この曲は本当に凄い。  何しろ、この方向転換がなくては、今日までの人類の発展はなかったかもしれないという重大な局面がテーマになっています。膨大な日本史の出来事のなかで、あえてここを取り上げるセンスには脱帽というほかありません。 「狩りから稲作へ」というタイトルには、人類の一大転換点が隠されています。文字通り、「狩り」を中心とした生活スタイルから、「稲作」を中心とした生活スタイルに変わったということです。  この変化により、人々は「定住生活」が可能になりました。それまでは獲物を追いかけては狩りをし、狩り尽くしたら別の場所へ移動していました。そのせいで、どうしても群れの人数が少なく、生活の基盤も不安定でした。

農耕牧畜は「文明発展のための第一歩」

 こうした状況は稲作の導入によって一変しました。何しろ、狩りに行かなくてもご飯は土から生まれてくるのです。生活基盤が安定したおかげで、危険を冒して放浪の旅に出る必要がなくなり、群れの人数も増加しました。  狩猟中心の生活から、農耕牧畜が中心の生活スタイルへ移行するというのは、世界的に見てもさまざまな文明で起きています。いわば、文明発展のための第一歩なわけです。 「狩りから稲作へ」という一見すると地味なタイトルの中には、日本史が成立するためのルーツが隠されていたのです。  ここまでの流れを教科書の簡素で味気ない記述から読み取るのは、正直面倒くさいでしょう。そんな人は騙されたと思って、ぜひこの曲を聞いてみてください。 「不安定で危険も多い狩りから安定した稲作定住へ」という流れが、6分に満たない曲の中に見事にまとめられています。
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「743年」が忘れられなくなる
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