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いつまでもアメリカに頼っていられない。自主防衛、自主独立だ/倉山満

共和党の支持者の間でも鼻つまみ者なトランプ前大統領

 トランプ政権は、最初の2年は立派だった。減税と規制緩和により民の活力を強め、蓄えた富を軍事力に注ぎ込む。台頭する中国に対し、毅然とし、インド太平洋の国々との連携を進めていった。トランプ本人が問題人物でも、側近はマトモだった。少なくとも、マトモな側近の意見が通った。  しかし、政権就任2年目の中間選挙で、下院の多数を失陥。内政でめぼしい成果を出せなくなり、求心力が低下。大統領再選をかけた政権最後の年には、運の悪いことにコロナ禍が直撃。大統領選挙では負けを認めず、醜態をさらす。あげく、トランプの演説に煽られた支持者が、連邦議会議事堂に乱入。あまつさえ、警備員に死者まで出た。日本で言えば、暴徒が皇居に乱入、皇宮警察に死人が出たような話だ。  このような辞め方をしたトランプは、一部に熱狂的な支持者を抱えるが、民主党はもちろん、共和党の支持者の間でも鼻つまみ者だ。  そのトランプが各州に自派の候補を擁立、そして自らも2年後の大統領選挙に出馬する構えを見せた。  この動きで、票は民主党に流れた。

バイデンによる内政はレームダックが続くだろう

 本稿執筆の時点(11月10日)で、最終的な議席は確定していないが、民主党は思ったほど負けなかった。  上院は共和党49対民主党48の僅差(未確定議席3)。下院は共和党207に対し民主党187(未確定41)。  バイデンが下院を失うのは確実だが、上院は拮抗。神経を使わざるを得ない。  では、どうなるか。内政では、相変わらずレームダックが続くだろう。そもそも、80歳のご老人が今さら何の抱負があるのやら。地球環境問題にご執心のようだが、さらなる迷走をはじめるか。一方、外政に関しては、トランプ政権末期に「中国の台頭を許さない」との路線は、超党派で固めた。極端な方向には向かわないだろう。  こうした動きを見て、世界中の指導者(ただし知的にマトモな人物に限る)は、国策を決める。
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いつまでもアメリカに頼っていられない。自主防衛、自主独立だ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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