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能登半島地震で被災した動物と飼い主の今。愛猫を捜し続ける女性、ペットのために「車中泊」を選ぶ人も

聞こえないSOS。過酷な環境を選ぶ人も

[被災ペット]を救え!

発災すぐに現地入りした認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンは避難所を丁寧に巡り、捜索活動や物資支援を行う

「被災者は想像以上にSOSを出してくれない」と語るのは、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが運営する、ピースワンコ・ジャパンの岸下塁さん。  団体は発災すぐに現地入りして避難所を丁寧に巡り、捜索活動や物資支援を行っている。さらにペット支援のニーズを調査し、ペットの一時預かりや、相談を受ける支援活動も続けている。
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「犬がいるし」と極寒の避難所の玄関で過ごす人も

「混乱の中でペットが受け入れ可能かどうか曖昧なところも多いので、飼い主さんが自ら『周囲に迷惑はかけられない』と言って、吹きさらしの寒い玄関や軒下などでペットと過ごす例が増えています。誰に相談することなく、過酷な環境を選んでしまう」  一方的に、「ペットを連れて避難所には行けない」と思い込んでいる人も多い。「犬がいるし」と極寒の避難所の玄関で過ごす人も。 「相談なしに、最初から車中泊を選んでしまう人がかなりいます。ほかにも、機能していないコンビニの中だったり、半壊している建物などに避難したり。助けたいのに、助けられない。とてももどかしいです」  ペットの捜索でも、同じ気持ちになることがあるという。 「街で迷い犬や猫を見かけるのですが、首輪が外れていると、野良と判別できない。SNSを見ると必死に我が子を捜している方がいるのに、捕獲できない。動物の捜索活動の難しいところです」

石川県獣医師会の新しい取り組み

[被災ペット]を救え!

「車中泊では寒さとストレスに悩まされていた」と、3匹の猫を抱え一時預かりを利用する人も

 いまだ混乱が続く中で、石川県獣医師会では県内の動物病院と連携し、犬や猫などを当面1か月、無料で預かる取り組みを始めている。 「車中泊では寒さとストレスに悩まされていた」と、3匹の猫を抱え一時預かりを利用する人もいる。環境省によると、一時預かり中のペットは、猫60匹、犬49匹、鳥10羽、ウサギ2匹だ(1月25日時点)。  このほか、石川県によって、ペットを収容するトレーラーハウスが、金沢市のいしかわスポーツ総合センターに計2台設置された。1台で犬が10匹、猫が18匹まで収容可能で、飼い主が直接世話をすることができる。
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数々の現場で、ペット救援活動を行ってきた、日本動物介護センター。行政の連携の重要性を主張する

 だがこれで十分なのか。今回の能登半島地震や、東日本大震災などでもペット救援を行ってきた、NPO法人日本動物介護センターの山口常夫理事長に、今後の被災ペットの支援について聞いた。 「今後は、二次避難に向けて、よりペットの一時預かりの需要が急増するはず。国は同行避難を推奨しているのに、受け入れ場所が少ない。行政と民間が連携して、受け皿の重要性を議論してほしいです」  疲弊していく飼い主や動物を救うべく、今日も被災地で闘い続ける人々がいる。 取材・文/週刊SPA!編集部 写真提供/ピースワンコ・ジャパン 日本レスキュー協会 日本動物介護センター
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