更新日:2018年12月27日 22:03
ライフ

“ラブホ格差地帯”新宿歌舞伎町の正しい(!?)歩き方/文筆家・古谷経衡

独りラブホ考現学/第6回

歌舞伎町ラブホ街は「3区分」で分析できる

 東京都内最大級のラブホ街と言えば、円山町、五反田、鶯谷、そして新宿・歌舞伎町である。筆者は、この都内4大ラブホテル街のなかで、渋谷と新宿に最も足を運ぶ頻度が高い。当該地で飲み会や打ち合わせがあるとき、そのまま自宅である千葉県松戸市に帰るのが面倒なので、ラブホに独り一泊することが極めて多いのである。  そんな中で、歌舞伎町のラブホ街には明確なゾーン区分が存在する。それは、同じラブホ街であっても駅から近い順番にA、B、Cの三ゾーンに宿泊料金の高低が区分できる点である。  図に示したAゾーンは、新宿駅に最も近く、ホストクラブなどが混住する雑多な繁華街である。このゾーンは概ね新宿区役所通りを境に西側一帯であり、歌舞伎町二大バッティングセンターとして知られる、「新宿バッティングセンター」「オスローバッティングセンター」が立地する地帯である。このAゾーンに立地するラブホテルは、最も入室の難易度が高く料金設定も高額である。平日夜の時間帯でも満室になることが多く、まして土日祝祭日前日などは「素人」が独りで泊まろうと試みても、すぐにカップルで満杯になる。歌舞伎町ラブホ街に於ける屈指の目抜き通りであり高級地帯である。  Bゾーンは概ね新宿区役所通りを境にして東側に位置し、「野郎寿司」本店以北から302号線の手前までのゾーンである。Aゾーンに比べれば料金設定も割安で、比較的大型の室数を誇る現代的ラブホが多い。平日夜やサービスタイムならば、無理なく独りラブホを満喫できる区分である。しかしながら、Aゾーンと同様、土日祝祭日前日などはほぼ満室状態で「素人」にはオススメできない。独りラブホがある程度熟練してきた中級程度の経験者にはオススメしたい地帯である。  Cゾーンは、この過密な歌舞伎町ラブホ街にあって最も料金設定が低く、まさにオススメの穴場である。しかし場所的には、「新宿」というよりかは「東新宿」に近い一帯で、明治通りにほぼ近接する。ゴールデン街より更に駅から遠く、新宿駅までの距離は徒歩約20分程度を覚悟しなければならない。  しかし独りラブホテル熟練者の私が、決まって泊まるのはこのCゾーンに立地するホテルである。当然のこと相方がいないので、どんなに安かろう悪かろうでも気にすることは無い。ラブホとしての体裁が整っていれば最低限度で良い、という方にはこのCゾーンに立地するラブホを最もオススメしたい。格安の料金設定だけでは無く、土日祝祭日前日などでも空き室を見つけられることが出来る。またAゾーンと違って、敷地面積が大きく、駐車場を併設している場合が多い。これも独りラブホの道からすると大変ありがたい店舗が多々あるのだ。

破格のラブホテル「ラフランセ パリ」

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ラーメンが「時価」のラブホ
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(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数

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