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新型コロナで破綻寸前の60代独身、乳がん回復も「今年もつかどうか」

 新型コロナの影響で、以前からギリギリの暮らしを続けていた生活困窮者たちが大きな被害を受けている。元から脆弱だった生活基盤が、一気に崩壊しかけているのだ。今回は、わずかな収入源に頼る生活が破たん寸前、下流老人の実態に迫る。

「今年もつかどうか」大病から回復した直後にコロナ流行

コロナ貧困の絶望

抗がん剤の副作用で爪の表面が剥がれてしまうという永田さん。頭髪にも影響が出ており「経歴書の写真を撮るのが苦痛」と話す

 内閣府の「男女共同参画白書」によると、高齢単身女性の2人に1人は貧困状態に陥っているという。 「ずっと病気で働けなくて、ようやく仕事を探そうと思ったら、コロナが流行りだしてしまって……」  そうこぼすのは、永田雅子さん(仮名・65歳)。夫や子供はおらず、今は都内の築40年のアパートで一人暮らし。家賃は7万円だ。 「大手運送会社で長年、パートの事務員として働いていました。手取りは17万円ほど。定年後も子会社で再雇用されて、時給は東京都の最低賃金まで下がりましたが、なんとか暮らしていました」
コロナ貧困の絶望

高額療養費制度で月の医療費は約3万円だが、それでも懐への負担は大きい

 しかし4年前、がんが発覚した。 「早期の乳がんでした。最初は自宅療養していたのですが、抗がん剤治療を始めてからは副作用があまりにひどく、仕事も辞めざるをえなくなって。この数年は毎月10万円ほどを貯金から取り崩し、繰り上げ受給の年金5万円と合わせて生活しています」  ただ、今年に入りなんとか体調は安定。治療費を稼ぐために再就職活動を始めようとした矢先に、新型コロナの大流行が始まった。 「外出自粛のなかで通院もしないといけないし、求人自体減っているので仕事を見つけられるか不安ですね。貯金はみるみる減ってあと70万円ほど。このままだと今年いっぱいもつかどうかです」
コロナ貧困の絶望

部屋は物が多いが、よく整頓されていた

 両親はすでに鬼籍に入り、唯一の肉親は大阪在住の姉のみだ。 「姉とは折り合いが悪く、10年近く会っていません。病院の主治医からも生活保護を勧められましたが、福祉事務所から姉に連絡が行くのは絶対にイヤなんです。今のひどい状況を知られたくなくて」
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高齢単身男性も仕事がない
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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