孫正義が人生の決断を下したのは坂本龍馬に憧れたから
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第203回
ソフトバンクグループの孫正義会長は高校時代、福岡県にある進学校の久留米大学付設高校に進学しました。それが1年生の夏休みに参加したアメリカでの語学研修がきっかけで、翌年2月にはサンフランシスコにあるホーリーネームズ大学の英語学校に留学しました。
「高校を辞めてアメリカに留学する」という彼の選択に対して、担任の教師や家族は「早すぎる」「せっかく入ったんだから、卒業して日本の大学に入ってからにしろ」と反対しました。またこの時、父親が肝臓病で吐血した直後で、「病気の父親を置いて、自分だけのことを考えていいのか」という葛藤が孫正義自身にもありました。
周囲から反対されて、自分でも悩んでいたにも関わらず、彼はなぜアメリカ行きを決断したのか。決断には常に人物の影響があります。「あの時、あの人が、ああ言ったから」あるいは「あの時、あの人が、ああしたから」ということがあって、人は何かを決断します。
孫正義のアメリカ行きの決断に影響を与えたのは、明治維新の志士、坂本龍馬です。孫正義は坂本龍馬のファンで、司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』を三度精読したと言います。その一度目の精読が、アメリカ留学を決断した時でした。
坂本龍馬は土佐藩を脱藩しています。脱藩の罪は重く、親類縁者にも及ぶものでした。この罪が及ばないようにするため、坂本龍馬の姉である乙女は夫と離縁したと言われています。この龍馬の脱藩のエピソードに自分を重ねた孫正義は、家族の反対を押し切ってアメリカ留学を決断したのです。
この時の孫正義の心情は『人物像』です。「自分もあの人のようになりたい」という気持ちは何かを決断し、粘り強く行動するための強い原動力になります。逆に「こうした方が良い」「こうすべきだ」「この方が合理的だ」「効率的だ」といった理屈をいくら並べてもモチベーションにはなりません。人物の影響こそがモチベーションを左右しているのです。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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