渡辺浩弐の日々是コージ中
第103回
02年2月12日「鳩よ」
・我が中野ブロードウェイの、例の「店」の方は、改装順調。なのだが、鳩問題に悩まされている。すごい数の鳩が窓の外にやってくる。一日じゅうポッポポッポとうるさくてしょうがない。
・ところで中国はあんなに広場が多いのに鳩をいっさい見かけない。ある時不思議に思って知り合いの中国人に聞いたら、理由を教えてくれた。「中国では鳩を食べるから」だそうだ。そういえば中国や香港にいた時には僕も鳩料理をしょっちゅう食べていた。
・その人は最初に日本に滞在している時は、近所の公園で毎朝一羽ずつ鳩をつかまえては料理して食べてるそうだ。この国は食糧難の心配がないからいいですね、と言っていた。なるほど、考えようによっては窓を開けるだけで何十羽の鳩が勝手に入ってくるこの状態は、世話のいらない鶏小屋を持ってるようなものなのだ。
・そう思い、僕もまるまると太った一羽をつかまえて、丸焼きにして食べてみた。これはいける!
・もしかしたらこれ、中野ブロードウェイ名物として売り出せるかも。と思ったのだが、それ以来、鳩はなぜか一羽もやって来なくなってしまった。
02年2月13日「知恵熱?」
・40度を超える発熱。しかし休まずに脳から血が出る勢いで本を書きまくる。6ヶ月連続で6冊出る。書き飛ばしてるんじゃないかと思う向きもあるかもしれないけど、実はどれもすごい長期間しこしこ書き続けてきたものを仕上げているのだ。紙の本という発表形式では、ここらへんで一度出し切るつもり。それから、新しいことを始めようと思ってるわけ。
・さて『「ひらきこもり」のすすめ』『プラトニックチェーン』に続いて、2月末には『2999年のゲーム・キッズ 完全版』が出ます。書き始めてから10年かかったもの。初版の特装版はかなり部数が少ないので、予約して頂けると嬉しいっす。買い占めて中野ブロードウェイで独占販売してもよかったかなあ。
02年2月14日「マーケット」
・連載中の探偵小説の取材のため、渋谷、新宿のラブホ街を取材(外側だけ)。新宿歌舞伎町も、渋谷円山町も、ものすごくごったがえしている。真昼の繁華街と変わりはない。若い人だけじゃないのが驚きである。わけありっぽいカップルも多くて、資料用の写真も撮れる雰囲気ではない。
・話はそれるけど、出会い系サイトにハマってる女性の大半は30代前半らしい。バブル時代にアホな男たちにさんざん甘やかされた世代の女性が中年の域に入りつつある。心も体もスポイルされた人間の老化は早い。ミもフタもなく醜くなっていく彼女達のあがき方がこれからいろんなところに露出してくると思う。
・さらに話はそれるけど、いわゆる団塊の世代は遂に老年の域に入りつつある。「若者であること」をアイデンティティーにしていたこの世代(特に男性)は、どう、老いていくのだろうか。これも興味深い。
・というわけで60代男性と30代女性のしょうもない恋愛を大仰にとらえたドラマや小説が今後、流行すると僕は予想する。