第168回

6月2日「良いマシンだったんだけど……..」

・『トゥルーファンタジー ライブオンライン』開発中止との報。X-boxはもう日本市場を見てないんだろうか。惜しい。

・有名ゲームメーカーからマイクロソフト日本法人に引き抜かれて今までがんばってはきたものの、やっぱり古巣に戻りたい、でも戻れないよなあ…..という話を最近良く聞く。そういう人達が今 「ジェンキンスくん」と呼ばれている。

6月4日「自傷自粛」

・集英社の野村さんから電話。ネット連載している『晴れときどき女子高生』の次回アップぶんを大幅に書き直すことに。

・原稿を渡したのはもうずいぶん前なんだけど、ニュースを見ながら、こりゃ来るかもと予想はしていた。シム・フィクション(C)を書いている以上、こういうことは覚悟だ。こだわる作家もいるらしいが、ネットやテレビでの発表物については、表現を変えても意図が変化しないことであれば、さっさと書き直すことにしている。自分で内容に責任の持てる単行本にする時に、元の描写を復活させよう。

・ところで例の事件について僕のところにもいろいろと電話取材が入っているけれど、マスコミ側はもしこれを機に小中学生のネットライフを考察するつもりなら、とことん深くやるべきだ。コンピュータやネットで一番大切なのはハードウェアやソフトウェアのことではない。コミュニケーションの方法論である。その教育ができるなら小学校の科目をどれでも一つくらい減らしてもいいと思うが、今のところは学校に期待するべきではないだろう。

6月7日「戦時下のリアリティー」

・完全に韓国映画にハマっている。今日は『シュリ』のカン・ジェギュ監督の新作『ブラザーフッド』試写。スペクタクルシーンは様々な戦争映画のおいしいとこ取りだが、そのリアリティーはハリウッド大作を超える。

・戦闘の凄まじさは出色だが、役者の必死の演技はその迫力を凌駕している。それがちっともクサくないのは、この国にそういう熱が実在するからだと思う。ハリウッドにとってベトナム戦争はもう過去のものになった。イラクで起こっていることに対しても痛みを共有できてはいないだろう。そして日本で本当にリアルな戦争映画を撮りたいという作家は深作欣二監督を最後に消えたようだ。しかし韓国にとって戦争はまぎれもなく現実なのだ。勃発から50年以上が経っていても、朝鮮戦争は過去のことではない。休戦状態が続いているだけで、今でも戦時中なのである。若者には兵役義務があるし。

・それから韓国映画の勃興はもちろん国策、というより国策のたがが外れたことが大きいということがこの映画を観ているとはっきりわかる。戦争映画であっても、ラブシーンや政治批判も含む思想性がきちんと表現されなくては成立しなかった作品なのだ。

・さて今日から原稿書きでこもります。富士の裾野にやってきましたよ。

2005.12.23 |  第161回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。