第207回

3月28日「マンガ/映画/アニメ」

・稲垣理一郎先生(『アイシールド21 』原作者)と少年ジャンプ編集者の方々、来社。「少年ジャンプ・デジタルマンガ賞」審査を開始。稲垣さんはネットやCGのことにもとても詳しいので、個々の作品の評価だけでなくデジタルマンガの未来性についての話でも、盛り上がる。

・このとてもユニークなコンテストも、もう3年目だ。この領域でクリエーターが着々と育っている様子が良くわかる。ショートムービーやゲームとの境界もかなりなくなってきた。「デジタルマンガ」とはビジュアル性と個人作家性の強いインタラクティブ作品をひとくくりにしたジャンルと定義してもいいような気がする。

・発表は近日、少年ジャンプ誌上やウェッブページ(http://jump.shueisha.co.jp/henshu/digital-manga)で。過去の受賞作家が連載しているコーナーもあるので、ぜひチェックしてみてほしい。

3月29日「アニメ/映画/マンガ」

・『MASK2』試写。実写と3D-CGの合成で、コミック世界で培われていたデフォルメ表現を超リアルに映像化してしまう、という試み。期待通りのパターンで、今回は赤ん坊のアクションが見物だ。実写の赤ちゃんが元気に飛んだり跳ねたり、だけでなく小賢しく立ち回ったり小芝居したりする。リアルなのもいいがこのあたりでそろそろ気持ち悪くなってしまう人もいるかもしれない。デジタル表現はここから先はさじ加減がとても重要になっていくだろう。

・主人公は、愛妻に恵まれながらもなかなか子供を作る決心がつかないアニメーター。その悩み方は、日本の第一期おたく世代には他人事に思えないかも。それから彼の勤務地、アニメスタジオの内部の描写が面白い。まるで遊園地のように派手で楽しそうな内装、そして社長にも簡単に話しかけられるフランクな空気、の中で、熾烈な実力主義、能力差別が実行されている。例えばステイタスによってフロアが替わる、など。その風景も実状も、誇張されたものではないのである。

4月1日「リニアモーターカー、170円で乗れるんじゃん」

・都営大江戸線は実はリニアモーターカーなのだったことを知って皆に言いふらすが、誰も信用しない。そうか今日4月1日だった。

・ただし大江戸線のは浮上式ではないけどね。でも、もうムリして浮かせなくてもいいじゃんって気がする。リニアモーターカーの研究が始まったのは1962年。僕の生まれた年だ。つまり僕らの世代はガキの頃からずーっと、「もうすぐ実現する未来の乗り物」としてこの名を聞き続けてるわけである。でもそういうものが、やや形を変えつつも身近なところで実用化してるってのがうれしいです。

・そういえば中野の裏通りはコリラックマが普通に歩いていた。これも誰も信用してくれないので写真を。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。