第221回

7月9日「何をコージーしているのでしょうか?」

・最近、ファミコンのコントローラーそっくりの変なモノ(=写真)を持ち歩いてる業界人が結構いる。バンプレストから出てる「NINTENDOコントローラ型アラームクロック」(¥1500)だ。連射測定機能付き、ってところがポイント。’80年代に高橋名人のハドソンから「シュウォッチ」という名前で出てたアレとほぼ同じ商品なんだけど、サウンドはマリオ、そして秒間16連射を超えるとシークレットボーナスとして音源が追加される。

・ある世代は、これ一個で瞬間的に結構アツく盛り上がれる。撃って撃って撃ちまくるのも楽しいよ。「擦り」ではなく「高橋撃ち」で僕はまだ秒間13連射行きますよ!


7月10日「地域限定情報」

・法政大のミニコミ『オレンジプレス』最新刊を拝見。中野ブロードウェイ特集で取材を受けたのだ。同テーマのインタビューはたくさん受けているが、中野ブロードウェイの、バーチャルとリアルの接点としての機能についてこれほどじっくりと書いてもらえたのは初めてで、嬉しかった。

・と紹介したところでこれって法政大学キャンパスに行かないと手に入らないわけである。自分のインタビュー文を自分で引用するのも変な話だが、ほんの一部分だけ。
「開いているお店は非常に象徴的なものとして機能していても、ネットで売ることによって何十倍もの商売が出来る。宗教の聖地みたいなんですよ。メッカに一生に一度巡礼するじゃないですか。でも、あの人たちっていうのは毎日メッカのことを思い続けてお布施をしたりとかお祈りしたりとかしてるわけですよ。そこに行ける行けないかはあまり意味のないことで、その場にあること自体に意味があって、そういった存在に中野ブロードウェイがなりつつある。ある種、オタクの聖地みたいに」
「極端な話、もうブロードウェイのお店っていうのは10センチ四方でもいい、実際の活動はネットでやってるみたいな。実際に今のレンタルショーケースと近いですよね。それは凄い宗教的なイメージのものでもかまわない。僕自身が今、書いている『プレイヤー』という小説もブロードウェイが舞台なんですけども、僕の部屋がブロードウェイにありますと。その一つ奥の部屋に僕の小説の主人公が住んでます、みたいな感じでフィクションとノンフィクションをつなぐ場所としてブロードウェイを使っていて。境界があいまいであることがおもしろいけれども、でも、境界のあるところはヴァーチャルであるものをリアルに持ってくるっていう、リアルであるものはバーチャルに持ってくるみたいなことが凄く重要なことになってくる中で、それを場所としてやっちゃっているのがブロードウェイなんです。だから小説のテーマあるいは舞台として、それと同時に自分のリアルの活動の場所として同時に使うっていうところが僕としては今後やっていきたいですね」

・それから同じ号で秋葉原の特集もやっていて、「とらのあな」社長が現役法大生だったという驚きの事実をその記事で初めて知った。

7月14日「しゃっくり、って意味」

・『ハックル』観る。ハンガリーのパールフィ・ジョルジ監督のデビュー作。とある農村。家の前でおじいさんがしゃっくりをはじめると、そのリズムに合わせて世界がミクロに、マクロに描写されていく。牧歌的な風景の中で様々な動物や昆虫や草花が、それぞれの営みを続けている。誕生し、成長し、そして食べたり、食べられたり、殺したり、殺されたり。蛇が、カエルが、モグラが、犬が、アヒルが、豚が、ナマズが、蜜蜂が……そして人間が。

・台詞もナレーションも一切ない。幻想的でありつつくっきりとリアルな映像はひたすら美しく、自然礼賛の映画にも思えてしまう。しかし重要な裏テーマは「死」であり、例えば川底に沈んだ男性の死体が何度も映し出され、それがいろいろな人々の日常生活に微妙に関係していることがわかったりする。

・監督自身は「これは映画を装ったゲームだ」と言っている。意味を追及しなくても十分楽しめるものだが、謎解き(裏ストーリーの解読)にチャレンジしたくなって繰り返し観る人も多いだろう。

2006.02.13 |  第221回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。