第223回

7月22日「ケータイに秘められた機能」

・日経産業新聞に「ドコモ、カメラ付き携帯使い販促手法」という記事。屋外広告や雑誌広告をケータイで撮るとそれが認証データになる。それでサイトに導いたり、データを送信したりしてくれるわけである。

・仕組みとしてはQRコードと似ているが、この段階の進化がとても重要だと思う。今、インターネット上で多くの人々は文字による検索や語句から語句へのリンクによって情報の海を泳いでいるわけだが、それが次段階には、画像・映像によるものになっていくのである。

・ネットサーフィン体験を、実世界に拡大出来るわけだ。例えば街で可愛い子を見つけたら、写真をパチリと撮らせてもらえればその子の公開プロフィールを調べたりなんてことができるかもしれない。

7月26日「ケータイを異界への扉として使う」

・タイミングというのは不思議なもので、ダイマジックという会社にて、上記と同様の(というか更に進んだ)技術を実際に触らせて頂く機会に恵まれた。本当はこの会社の立体音響技術を取材しに伺ったのだ(これはこれで凄いもので、ケータイの小さなスピーカーから鳴るサウンドが時に背後から聞こえるように錯覚してしまうレベルだった)が『プラトニックチェーン』の話題になった時に、実は関連会社にこういう技術もある、と教えて頂いたのだ。

・ケータイのアプリ上のカメラから入力する画像認識照合技術で、あらゆるイラストや写真を使えるというものだ。特定の画像をケータイで撮ると、特定のサイトに繋がる。これで、擬似的な映像検索を体験できる。

・例えば雑誌に掲載されたイラストや写真を撮ると、それについての情報ページに飛ぶ。商品だったらそのままオンラインショッピングできるようにしても良いだろう。特定画像としてはジャケ写のような代表的イメージアイコンを使うというのがわかりやすいが「ある場所にしか存在しない絵」や「ある地点からしか見えない風景」などを使うのも面白いかもしれない。

・そこから先、いろいろと妄想が広がる。「偶像の価値」「巡礼の意義」「お札の意味」「異界へのアクセス」といったキーワードが頭の中でぐるぐる回る。宗教について勉強してみようと思った。

7月28日「日々是ゲーム中」

・『タイトーメモリーズ』(タイトー/プレイステーション2)と『ダンスダンスレボリューションウィズマリオ』(任天堂/ゲームキューブ)にハマっている。この2タイトルの購買者については「ゲームというものを数年ぶりに買った」という人の割合がかなり多いかもしれない。ゲームのシルバー・マーケットを意図的に開拓しようなんて仕掛けなくてもいい。どうせほっといてもプレイヤーがじわじわ老いていくのだから。なんて、ふと思った。

・きんきんに冷やした日本酒が美味しい季節ですね。歳をとるのも愉しいよ。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。