第349回

2月7日「PSP的なタイトル」

・担当して頂いている編集者のFさんは美人で仕事もばりばりできる独身キャリアウーマンだ。時々ものすごく大きな紙袋を持っている。いつ聞いても、服を買ったのだと答える。それも高級ブランドばかり。そして買った服は袖も通さないものが大半だ、という。それが異常なことだというのは自分でわかっているそうだ。

・こういう人にお薦めのソフトが『マイスタイリスト』(SCE/2月28日発売予定)。サンプル版でプレイさせてもらったが、現在なぜか成人女性層からの支持が厚いPSPのマーケット・イメージを正しく捉えた好企画だ。

・PSPにカメラを取り付けて、自分の服やバッグやアクセを全て写真で撮って入力してしまうのである。後は画面上で整理したり、いろいろ組み合わせてみてワードローブを考えたりするのだ。オートスタイリングのモードにすると、季節や会う人や行く場所に合わせて、手持ちのアイテムを合わせてのスタイリングを提案してくれたりする。

・とりあえずクロゼットはぐちゃぐちゃでもいいから、服をこのソフト上で整理する。ワードローブをストレスにせず、ゲームとして楽しむ。ウィッシュリストもあって、つまり雑誌に載ってる服を撮って、ワードローブの中に混ぜてしまう。さんざん試行錯誤してみて手持ちのアイテムとうまく組み合わせることができるということがわかった段階で、実際に買うのである。

2月9日「あと991年」

・講談社BOXから『2999年のゲーム・キッズ完全版』がリニューアル・リリースされることに(4月1日発売予定)。諸事情あり初版で打ち止めになっていた本で、中古品を1万円を超える価格で購入したなんてメールを頂いたりして申しわけなく思っていた。

・過去のショートショートはできるだけドワンゴやニワンゴのケータイ配信で読んでもらえるようにしているところなのだが、この本は掌編・短編・中篇含め1冊まとまって意味を成す設定もあるので、また本として、手に取っていただける機会を頂けたことは本当に嬉しい。いろいろな形で支持し復活に繋いで下さった方々に本当に本当に感謝。

・今回、TAGROさんがたくさんのイラストを描いて下さった。僕も新作を書き下ろした。10年ぶりに秘密の一つを明かすよ。これはTAGROさんに、ビジュアル化して頂いて載せる。

・作品について改めて。これを読めば、死んでも大丈夫になる、そんな本です。一度でもこの物語を脳細胞に刻み込めば、あなたは、この世界の中で永遠に暮らせるようになるわけです。

2月14日「面倒を楽しむ」

・自分の会社の登記を変更する手続き。飲食店の経営とか、物の販売とか、いろいろ資格や許諾を申請するにあたり、定款の事業目的の文案を変える必要があった。例えば古物商なんて、資格持ってないのに書いちゃうのってまずいと思っていたのだけど、定款目的に入ってないと申請ができないのである。

・いちいちお金もかかるし時間も取られるけど、こういう経験もいつか何かの役に立つかもしれない。何の役に立たなくても小説の栄養にはなる……と、いいなあ。

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PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。