第355回

3月22日「人生スクラップ&ビルド」

・中野ブロードウェイのカフェ予定地、改装、始まる。まずは真っ白に塗っちゃおう! 映画『ナック』を思い出しつつ。

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3月24日「萌えは3次化できるか」

・『僕の彼女はサイボーグ』試写。韓国の人気監督クァク・ジェヨン(@『猟奇的な彼女』『僕の彼女を紹介します』)を日本側スタッフがサポートした邦画。主演は小出恵介・綾瀬はるか。

・寂しい一人暮らしの青年のもとに突然現れた美少女は、未来の自分から送られてきたサイボーグだった……と、どこかで聞いて聞いて聞きまくったような設定。つまりマンガ・アニメの世界を実写映画の文脈に引き込む試みである。絵本的ファンタジー世界を実写に引き込んだディズニー映画『魔法にかけられて』と対比してみるとすごく面白い。

・日本のオタク系コンテンツが現出してきたイメージを次々と3次元化しているのは韓国映画だ。マンガとアニメとゲームがこんなにがんばっているのに日本の映画ときたら……と、忸怩たる思いを語る向きも多かった。しかし今そのマイルストーンともなるべき作品を、日本側が邦画として回収してみせたのである。もしかしたら後世、この企画が日本映画を救ったと言われるかもしれない。

・綾瀬はるかは愛らしいが、アップになるたびに、サイボーグなのだからここは整形をびしびしに決めた韓国女優を起用するべきだったんじゃないか、と思ってしまう。そうしなかった理由は、ストーリーの最後に明らかになる。

3月29日「文学、音楽、映像、そして」

・講談社BOX編集部にて、作家さんや編集者さんと、コーヒーの研究会。渡辺浩弐の開発したUFOコーヒーを持参し飲んでもらう。

・クリエーターは今後、ネットに載せられないタイプの「作品」も、創っていかなくてはならないんじゃないかと考えている。小説も映像も音楽もデジタルコピーされる以上、今後は否応なく「無料化」を志向してしまうわけである。そこで、いまだデジタル化されていないコンテンツとして「味」や「香り」に注目してみる。例えばコーヒー。それ自体で物語性を構築することは難しいかもしれないが、作品や作家のイメージと同時に提示されることによって、新しいコンテンツになり得るのではないか。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。