第354回

3月8日「珈琲と言葉」

・カフェのために小説を執筆。『珈琲と言葉』というタイトルを先に決めて書く。オープンに向け雑務が多い日々だが、こういうことをまじめにやっていないと本末転倒になる。

・メニューの中に書き下ろし作品が入っている、そういうお店があったらいいなあと妄想している。

3月14日「ディズニーランドが好きな人に」

・ディズニーの『魔法にかけられて』が、とてもいい。あまりにもベタな企画なので映画好きの人ほど敬遠してるんじゃないかと思う。だとしたら大損である。もちろんコメディとしても素晴らしい(ディズニーのセルフパロディの激しさに悶絶する)が、アニメの世界のお姫様や王子様が現代ニューヨークに出現する、そのギャップを笑うだけの映画ではない。

・欧米ではアニメーションはファンタジー世界(→絵本の世界)を映像化するために進化していった。それを変容させずそのまま実写に引き込んでいく試みについて、先駆者ウォルト・ディズニーは、試行錯誤の末に映画ではなくテーマパークでやることにしたのだと思う。そして本気で、徹底的にやって、成功させた。大の大人が本気で王子様やお姫様に萌えてる図を成立させたのはディズニーの功績なのである。この映画はその正しい延長線上にある。だから子供を喜ばせるだけでなく、疲れた大人を癒してくれるのである。

・ディズニーはここに至るまで50年強を費やしたわけだが、日本のアニメやマンガはいかにもたやすく3次化を果たしていく。それは作風や技術ではなく受け手の寛容さないし脳内補正能力によるものか。

3月21日「ファンなので嬉しい」

・4月2日オンエアの『世にも奇妙な物語』で、渡辺浩弐原案の作品が1本、オンエアされます。一流の映像スタッフ陣がドラマとしてのクオリティーを追求して仕上げているから小説の原形はとどめていないんだけど、特にゲーム世代の「世にも奇妙」ファンには必見の作品になってますので、ぜひ。

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2008.03.23 |  第351回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。