渡辺浩弐の日々是コージ中
第362回
5月9日「限定解除です」
・KOBOカフェ、一般オープンしましたー。本好きの人達が静かでゆったりとした時間を過ごしてくれている。小説家、イラストレーター、編集者など本のプロの人達にもすでに有効活用してもらってる。えらそうな人やうざい人はいない。一人でも、若くても、喫茶店に入ったことがなくても、ためらわずに来てみて頂きたいと思う。
・僕はしばらくはカウンターに入ってコーヒーをいれている。今日から6月末までを目途に、週末(金・土・日)だけの営業。僕も含めてスタッフ全員、本業(本作り)と並行してやってる仕事なので。
・ただし関係者やBOX作家さんの希望があれば平日でも開けるつもりなので、お気兼ねなく。その場合、担当編集さんに連絡して頂くのがいいと思います。それから営業の後にはスタッフはたいてい飲んでたりするので、昼間に来にくい作家さんは、そのタイミング狙って連絡を頂けると、いいかも。
5月10日「イベントもここで」
・KOBOカフェはテーブルを並べ替えてイスをずらりと列にしてカウンターをステージにして、音響映像システムにスイッチ入れれば、あら不思議、あっという間にイベントホールになるのである。今日は講談社BOXの太田編集長と、トークショウを行った。
・なんでカフェなんかやってるの? と最近どこに行っても聞かれる。どうせもうからないんでしょうとかそんな暇があるなら小説書けばいいのになんて言う業界人に限って実際に来ることは、ない。来てくれた人にはきちんと話したいことが太田さんにも僕にもたくさんあった。それを今日は時間をかけてできるだけ丁寧に話してみたつもりだ。
・ところで渡辺浩弐のオリジナルコーヒーはなぜ「UFO」コーヒーかという質問があった。「これから僕はとても変な話をします」と宣言し、「どんなに変な話でも、引きませんか?」と確認してから話したにも関わらず、お客さん全員、ドン引き。
5月11日「珈琲と校正」
・カフェにいる。連日、花を頂いてうれしい。ありがとうございます。編集部からは『ファウスト』のゲラが次々と届く。どうやら今度こそ本当に出るみたいだぞ。中には3年くらい前に書いた文章もあるので、手間をかけて直している。そういう作業を、カフェの壁面モニターに表示しながらやったりしてる。
・なんか最近、カフェの話ばっかりだけど、ちゃんと小説も書いてるよ。毎年毎年おかしなことをやり続けているおかげで小説家としてもネタがつきないのだ、と自分に言い聞かせたりしつつ。