第423回

7月16日「作家もゲーム実況」

・佐藤友哉さん、松原真琴さんと、思い入れ・思い出のあるゲームをKカフェに持ち寄って、<ニコニコチャンネルGTV>でゲーム生実況をやってみた。

・中学生の方から松原さんに届いたご要望メールがきっかけになって始まった企画だった。ありがとう。そして佐藤さんと、この機会に「なんでゲームのチャンネルなのに作家が集まってるのか」という点について、いろいろ話すことができた。

・作家が作家性をベースにゲームを語ることに、意義があると思っている。また、やります。

7月17日「気づいたらまずここに」

・<ニコニコチャンネルGTV>について、ゲーム業界各方面への説明を続けている。Kカフェにも今週はスクウェア-エニックス、UBI、アルケミスト、セガ、ほか各社の方々がご来訪。業界のたまり場にもしていきたいので、どんどん遊びに来て頂きたい。ゲーム会社と個人クリエーターの出会いの場になったりすると面白いなあ。

・このメディアにぴんと来てくれた人のセンスに応えたいのである。ニコニコ動画にアップされている映像の約半分はゲーム動画だ。ニコ動のブームとは「ゲームを知る新しい方法」のブームでもある。そしてこの世界の速度はとてつもない。ぼんやりしているうちにバスは出てしまっているだろう。ここに今すぐに的確な方法で乗ったゲームメーカーが成功すると信じる。

・企画をどんどん出してきてくれるのは、たいてい制作や流通の最前線で苦労している方々だ。費用対効果を考えると従来の広告方法がもう無効になってきているという冷静な分析が、そこにある。一方で、そういう動きの足を引っ張ろうとしてる人達がいるという情報が入ってきて、がっかりしてしまうこともある。すでに無効化したビジネスモデルに無駄なお金を使うことに慣れきってそのぬるま湯のなかでしか生きられなくなった人々が、そんなことにだけは一生懸命になるのである。

7月18日「古典は再生していた」

・この欄でも何度か取り上げてきた中野の名曲カフェ『クラシック』は、これも書いたが、老朽化したビルの取り壊しにともない、4年ほど前に閉店になってしまった。ところがどっこい、店内の内装や什器をひっぺがして移動して、別の場所にそっくりの形で再生したカフェがあるのだ。レコードのコレクションも譲り受けているようだ。元従業員やファンの方々が力を合わせて実現したことだそうだ。

・この空間のおかげで、4年前に中断した長編の続きをまた書き始めることができた。ゆがんだテーブルもイスも、あの変な味のジュースも(ほぼ)そのままです。場所は高円寺、店名は『ルネッサンス』。

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PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。