第434回

9月25日「ニューハードはまだいらない」

・東京ゲームショウ2009について、追記。周辺機器や値下げの情報が前面に出ていたが、大きな可能性は別の形でも提示されていた。

・例えばユービーアイ社のブースで、3Dゲーム『アバターTHE GAME』(PS3・Xbox360)をプレイして、ニューハードが出てきた時くらいのインパクトを感じることができた。3D-CGゲームはこの技術によってやっと正しい形で表示されるようになった、と言えるほどだ。液晶眼鏡をつけて両眼視差によって立体空間を体験するこのシステムについて、今後3Dゲームではなく立体視ゲームと言った方がいいかもしれない。

・立体視映像について、この数年の進化は本当にすごいから、ぜひ体験してみてほしいと思う。そして映画よりもテレビよりもこの技術はゲームに向いていると確信している。空間の奥行きや個々の物体やキャラクターの形状だけでなく、その場の空気感のようなものが手に触れてくるようにリアルに伝わって来るのである。草1本1本の揺れる方向までがはっきりとわかりそれで空気の動きを把握できる、たとえばそういうことである。上下左右だけでなく前後の距離感覚、あるいは角度なども掴みやすくなるから、実際、ゲームのプレイもさらに緻密にできるようになるわけだ。

・2010年、映画館のスクリーンから家庭用のモニターまで、3D化に対応して様々な変化が本格化するだろう。この機能にきちんと対応してゲームを作ること、あるいはまずマニア層に魅力をちゃんと知らしめることなど、ゲーム業界がやるべき仕事は多い。それによってゲームはまた、家庭のAV環境を激変させるエンジンとしてソフト/ハード業界を牽引する役割を担うことになる。

*話変わります。皆さん、10月4日の夜、お暇でしたら渋谷で会いませんか。今、ユーロスペースで安達寛高(乙一)さん監督作品『一周忌物語』と桜井亜美さん監督作品『PLANETARIUM』の同時上映(「乙桜学園祭 VOL2」)をやっていまして、僕も10月4日、観に行きます。上映後、両監督と、そして滝本竜彦さん、海猫沢めろんさんと一緒にステージに上がって喋ったりします。いつもカフェで集まってるめんつなので、なごやかに楽しい話ができると思います。

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PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。