絶滅危惧センカクモグラのゆるキャラ決定!名前は「もぐもぐせんちゃん」に
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「会のホームページだけでしか呼びかけてなかったので、『本当に集まるのかな……?』と不安だったのですが、フタを開けてみたらかなりの方が応募して下さりました。選ぶのにかなり骨が折れるほど秀逸な作品が多くて、なかでも、“もぐもぐせんちゃん”が一番カワイかったですね」
今回、キャラクター・デザインが採用された高柳順子さんを前に、そう笑顔で称賛する野口氏。モグラの子供が描かれた島の帽子、吻部がツンと上に伸びた鼻、そして、尖閣諸島周辺に広がる美しい海を映したブルーの瞳……と、確かに、なかなかキュートな仕上がりになっている(写真参照)。
中国漁船によるサンゴの密漁が相次いでいることで、現在、小笠原諸島に関心が移っているが、25日には、尖閣諸島周辺の領海警備強化を目的に新造した巡視船「たけとみ」と「なぐら」の2隻が石垣海上保安部に配属され、就役披露式が開かれたばかり……。
尖閣諸島関連の報道が少なくなってしまったことは間違いないが、今も、かの国の脅威に晒されたままであることに変わりはない。「環境問題」としての「尖閣問題」を、“もぐもぐせんちゃん”というアイコンを使って世界に広く発信していくことが、後々日本の国益に繋がるのではないか。 <取材・文/山崎元(本誌)>
「尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件以降、日本政府が島の『国有化』を決めるなど、一時は連日のように尖閣を巡る問題が報じられていたわけですが、その後、残念ながら時間の経過とともに、どんどん飽きられてきているような気がします……。でも、それは違うだろう! 『センカクモグラを守る会』としては、とにかく声を上げ続けていきたいと思っています」
先週末の10月23日、都内で開かれた「センカクモグラを守る会」のシンポジウムで、挨拶に立ったアルピニストの野口健氏はこう自らの決意を述べた――。
センカクモグラとは、尖閣諸島魚釣島にのみ棲息する固有種で、最後の上陸調査が行われた1979年時に捕獲された1匹を例に取ると、大きさは「頭胴長129.9mm、尾長12mm、後足長16mm、体重42.7kg」。通常のモグラが、42本歯が生えているのに対し、センカクモグラは38本しかないため口先が細長く前に伸びているのが特徴だ。
すでに日本哺乳類学会では「危急種」に、環境省や沖縄県のレッドリストではもっとも絶滅の怖れが高い「絶滅危惧IA」に指定されているのだが、これは、主に「尖閣ヤギ」が原因とも言われている。魚釣島に灯台を建てた民間団体が1977年に島に持ち込んだ1組のヤギのつがいが繁殖し、今やその数は500頭とも1000頭とも言われており、これらのヤギが固有種の宝庫である魚釣島の生態系を壊してしまったと見られているのだ。
冒頭の野口氏をはじめ、獣医学士でもある山際大志郎衆院議員、さらには「モグラ研究の権威」、横畑泰志富山大学理学部教授らが中心となって2010年に立ち上げた「センカクモグラを守る会」は、この絶滅が危惧されるモグラだけでなく、センカクキラホシカミキリなどの節足動物やセンカクツツジといった固有変種植物も広く保護すべきという観点から、今なお一触即発の睨み合いが続く尖閣問題にまったく別の視点からアプローチしていると言っていいだろう。
今年で4回目となった今回のシンポジウムでは、山田吉彦東海大学海洋学部教授や「やおよろずの森」代表の葛城奈海氏も招き、パネルディスカッションを開催。島に棲息する固有種の問題を広く知ってもらおうと、かねてから募集をかけていたセンカクモグラの「ゆるキャラ」も発表した。
選ばれたキャラクターは、その名も、“もぐもぐせんちゃん”――。
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