20年後には都心も過疎化。豊洲が「限界集落化」する!?
過疎化とは地方の問題だと考えている人は多い。しかし最近の研究では、多くの人口を抱える首都圏こそ、今後、深刻な過疎化の危機を迎えると警鐘が鳴らされている。
書籍『人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃』で首都圏消滅の危機を訴えるシンクタンク、日本再建イニシアティブの船橋洋一理事長がこう指摘する。
「’13年の東京都の合計特殊出生率は1.13と全国平均の1.43よりも低い。そもそも首都圏は地方からの人口流入に依存しているのですが、地方から流入してくる若年層も今後は減る一方です。急速な高齢化は、これから首都圏でこそ深刻な問題になります」
全国で最も高齢化率が高いのは秋田県で約30%だが、20年後には東京も住民の3人に1人が高齢者になると予測されている。しかも高齢化によるショックは、地方よりも首都圏のほうが大きい。
「例えば医療を必要とする高齢者は急速に増えますが、病院の数がそこに追いつかない。病院の待ち時間はもっと長くなり、医療難民が発生するでしょう。介護施設も収容能力が足りなくなる。人口減により公共交通機関や大規模スーパーも経営が維持できなくなり、買い物難民も大量に生まれます。このまま出生率を改善できなければ、都内でも特に高齢者の多い荒川区や多摩地区などが過疎化の危機に瀕していくと予想されます」
◆タワーマンションが都心の“山村”に
首都圏の出生率の低下と高齢化の進行予測を見る限り、「こうした過疎化のリスクが首都圏で表面化してくるのは、2020年頃からだろう」と船橋氏は語る。
さらに首都圏における過疎化の危機は意外なエリアにも及ぶ。地域エコノミストの藻谷浩介氏は、「都心の湾岸エリアも過疎化のリスクを抱えている」と指摘する。
「湾岸エリアのタワーマンションは投機の対象としても人気で、不動産バブルに踊らされて購入した人も多い。これが昔のリゾートマンションのブームとダブって見えます。地元への帰属意識が薄いお金持ちなら建物が古くなると物件を安く叩き売り、どこかへ移ってしまうでしょう。しかしローンが残る人は逃げられない。残された住民が数十年後に高額な大規模修繕の費用を捻出できなければ、『ゴーストタウン化』が待っています」
高齢化の影響も懸念される。
「例えば30代、40代が多数を占める現在の豊洲地区の人口構成は、40年前の高島平団地(板橋区)にそっくりです。かつて『東洋一の巨大団地』と呼ばれた高島平団地ですが、今は65歳以上の高齢者が住民の4割弱となっている。もはやこれは都心の“山村”です。分譲マンションが多く、長期ローンを組んで購入することが一般的な湾岸エリアでは、20年、30年は人の移動が起こりにくいため、高齢化がさらに早く進みます。そのとき高齢者向けの医療や介護の施設は足りるのか。湾岸地区にあこがれる人は多いですが、都心の人気エリアも住民の加齢とともに田舎の山村と同じ問題に直面することを忘れてはならないのです」
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<取材・文/週刊SPA!編集部>
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