作家・樋口毅宏が思う「図書館問題」――お金を払って読んでくれた人こそ読者です
―[樋口毅宏]―
『さらば雑司ヶ谷』『タモリ論』などのヒット作で知られ、最新刊『ドルフィン・ソングを救え!』も好調な小説家・樋口毅宏氏。そんな樋口氏がさまざまな媒体に寄稿してきたサブカルコラムを厳選収録した『さよなら小沢健二』が好評発売中。本書の発売を記念して傑作テキストを特別公開いたします!(当コラムは『文藝春秋オピニオン2013年の論点100』(文藝春秋/2012年11月13日刊)に掲載されたものです)
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ご存知ない方も多いと思うので、まずは所謂「図書館問題」の経緯について説明します。
きっかけは2011年の1月末。私が拙著『雑司ヶ谷R.I.P.』という小説の仕上げに掛かっていたときでした。800枚に及ぶ長編で、一度はノイローゼになりかけたものの、何とか書き上げた作品でした。たまたまツイッターで、「樋口毅宏の本を図書館で借りた」というツイートを見かけたのです。以前から、新刊の本が図書館で貸出されている現実に、どこか腑に落ちないものを感じていました。そこで、予てよりこの件に関して問題提起をしていた新潮社の石井昂氏(それまで一度も面識がありませんでした)にツイッターで、「氏が提案する〝図書館では初版から6か月間は貸し出しをしないで欲しい〟、それの第一号に僕がなります」と名乗りを上げました。

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