雑学

恋人に何度も首を絞められた男が知った真実の愛――爪切男のタクシー×ハンター【第十二話】

終電がとうにない深夜の街で、サラリーマン・爪切男は日々タクシーをハントしていた。渋谷から自宅までの乗車時間はおよそ30分――さまざまなタクシー運転手との出会いと別れを繰り返し、密室での刹那のやりとりから学んだことを綴っていきます。

恋人に何度も首を絞められた男が知った真実の愛――爪切男のタクシー×ハンター
【第十二話】「首を絞められたことのない人より、首を絞められたことのある人の方が他人に優しくできる」

シルベスター・スタローンを女にしたような年増のおばさん運転手と話が弾んでいる。渋谷のような場所で女性の深夜勤務となれば、色々と大変なトラブルに巻き込まれたこともあるのではないかと思い、その旨を訊ねてみた。女性ということで、客に舐められてしまうことも多く、時には手を出してくる酷い客もいるらしい。運転中に後ろから首を絞めてきた最悪な客もいたそうだ。スタローンの首を絞めるとは正気の沙汰とは思えぬ蛮行だ。「客に首を絞められた経験がある同業者は意外と多いんですよ」とタクシー運転手あるあるをスタローンは教えてくれたが、顔がスタローンに似ている人の言うことなので、話半分に聞いておくことにした。スタローンによく似た奴は信用するな。

だが、当時の私にとって「首絞め」という単語は、聞き逃すことのできない言葉だった。運転手に私の首絞めにまつわる話を聞いてもらうことにした。

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文/爪 切男 ’79年生まれ。会社員。ブログ「小野真弓と今年中にラウンドワンに行きたい」が人気。犬が好き。 https://twitter.com/tsumekiriman

イラスト/ポテチ光秀 ’85年生まれ。漫画家。「オモコロ」で「有刺鉄線ミカワ」など連載中。鳥が好き。 https://twitter.com/pote_mitsu

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