ここまで聞くと、「じつは日本人男性は騙されている」という側面が強くも思える。だが、一方で厳しい現実があることも忘れてはならない。 「女性として完全な容姿を手に入れるためには、整形やメンテナンス代に莫大な費用がかさみます。そのため、彼女たちは売春するなど必死になって働きます。当然、過労や病気のリスクもある。若いうちはまだいい。でも、ある一定の年齢を過ぎれば稼げなくなってくる」 　当然、カラダを酷使したツケは回ってくるだろう。クレイジーモンキー氏が言うにはこうだ。 「不規則な生活やホルモン注射を打っているせいか、劣化のスピードが尋常ではないんです。客がとれなくなれば店を追い出され、立ちんぼをしたり、クラブや出会いカフェを彷徨うことになる。いつのまにかボロボロになって、精神のバランスまで崩し、アルコールやドラッグに逃げてしまう人も非常に多いんです」 　バンコク界隈では、どこかの店の人気嬢が数か月後には死んでいる、なんて話は枚挙にいとまがないという。 「でも、だからこそ彼女たちの刹那的な美しさを写真に残しておきたいとも考えたのです」 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1271865 「彼女たちはレディボーイですが、普通の女性として、普通の幸せを願っています。しかし、その夢をまっとうできる人は多くはいない。僕は、ほんの一瞬でも彼女たちが輝いた瞬間を切り取ることができればと思っています」 　タイは“ニューハーフ天国”とも揶揄される寛容な国。だが、彼女たちに様々な困難があることは確かだ。 　とはいえ、レディボーイであれ、女性であれ、男性であれ。じつは“普通の”幸せを求めて生きることこそ、長い人生を歩く意味なのかもしれない。 ＜撮影／krayg_monkey　取材・文／藤山六輝＞ライター・編集者。著書に『海外アングラ旅行』『実録！いかがわしい経験をしまくってみました』（共に彩図社）など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ【最新版】』（辰巳出版）がある。Twitter：@gold_gogogo