「通商と軍事で中国を懲らしめろ」トランプ政権を操るドラゴン・スレイヤーたち【評論家・江崎道朗】
―[江崎道朗のネットブリーフィング]―
【江崎道朗のネットブリーフィング 第3回】
トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!
中国の不公平な通商政策こそアメリカの敵だ
いよいよトランプ政権が発足する。トランプが日本の自動車メーカーであるトヨタを批判したことから、日本がターゲットになるのではないかと恐れる意見も強い。
しかし、トランプの主敵は、中国だ。
トランプの通商政策に大きな影響を与えているのが、『米中もし戦わば』(文藝春秋)を書いたピーター・ナバロ・カリフォルニア大教授だ。トランプは、通商政策を担当する「国家通商会議」を創設し、そのトップにナバロ氏を起用している。
ナバロ氏は2013年、「Death by China(中国がもたらす死)」と題するドキュメンタリー映画を製作し、昨年からユーチューブで無料公開している。
トランプが絶賛したこの映画では、「アメリカの製造業を壊したのは中国だ」と名指ししているのだ。ナバロ教授は、中国が強制労働、児童労働などによって不当に安い賃金、環境汚染無視、不公平な補助金などによってダンピング輸出を行い、アメリカを含む世界の製造業を壊してきたと批判する。
アメリカでヒットしたテレビ・ドラマ『ニキータ』でも、中国などからアメリカに入国した不法移民たちを工場に閉じ込め、強制労働を強いる中国人マフィアと、それと結託するアパレル産業の闇を摘発する場面が描かれている。
中国は、強制労働による不当なダンピング輸出をする国であり、そうした中国の不当な通商政策によってアメリカの大企業は儲けてきたかもしれないが、結果的にアメリカの製造業は壊され、雇用は奪われ、地方都市はさびれてしまったと多くの労働者は思っているのだ。
こうしたアメリカの労働者の思いをくみ取って、不当に安い価格で世界の市場を席捲し、自由貿易体制を破壊している中国の通商政策を是正しなければならないというのが、トランプの主張だ。トランプは、保護貿易を唱えているのではなく、自由貿易体制を守るためにも不公平なダンピング輸出をしている中国と戦うべきだ、と言っているにすぎない。
当然、中国大陸で児童労働、強制労働などによる不当に安い賃金によって儲けている一部の日本企業もその対象となる。アパレル関係を始めとして中国産の安い製品を輸入して、日本で販売する経済モデルは、トランプ政権の誕生とともにいずれ消えていくことになるだろう。それは、公平で、かつ優秀な技術力をもつ日本にとって決してマイナスではないはずだ。
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio
経済的安全をいかに守るか?実践的な入門書が発売!
’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。
日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
記事一覧へ
| 『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』 経済的安全をいかに守るか? ![]() |
経済的安全をいかに守るか?実践的な入門書が発売!
’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。
日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
記事一覧へ
|
|
『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』 アメリカを浸蝕したコミンテルンの魔手「ヴェノナ文書」で明らかにされた日米開戦の真実−。日本も、ルーズヴェルトも嵌められたのか? いまアメリカで進む「歴史観」の転換に迫る。
|
|
|
『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』 トランプが世界を救う!権利や平等の名の元で破壊されつつある米国に立ち向かうトランプ。米国の惨状とトランプ人気の秘密がコミンテルンハンターとして名高い著者によって明らかとなる!
|
|
|
『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾―迫り来る反日包囲網の正体を暴く』 外国勢力に手玉に取られる日本の現状に警告を発し、日本の取るべき対応の核心を衝く
|
この連載の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
アメリカのスーパーで「すし」が爆売れしている理由とは?1人1000ドル(約16万円)の高級店を尻目に
「日本はプレミアムブランド」アメリカ人の55歳男性が語る“世界から見た日本の魅力”
ドローン兵器を「カミカゼ」と呼ぶな——米軍がイラン攻撃に使用する“兵器”俗称に日本人ライターが抱く違和感
【イラン攻撃】アメリカとロシアを同じ基準で批判できない国際社会の「現実」/倉山満
日本なら大問題?「無賃乗車が1日47万件」起きても“黙認”されるニューヨークの現実
「600万円相当の仮想通貨」が“たった2ヶ月”で大変なことに…。大暴落で失った総額は
トランプ大統領に「名指しされた仮想通貨“3銘柄”」が急上昇。“トランプ砲”で跳ね上がった「注目すべき仮想通貨」とは
いつまでもアメリカに頼っていられない。自主防衛、自主独立だ/倉山満
世界がドン引きする日本のトランプ支持者。アメリカ人は「単純にクレイジー」とバッサリ
「ネトウヨ言論人どもの所業、目に余る」アメリカ大統領選挙/倉山満
中国のフリマアプリに「日本の警察や自衛隊の制服」が大量出品…一体なぜ?警察手帳や国会議員のバッジまで
「サンフランシスコ条約は無効」中国外交官の暴走ツイートに高市首相の沈黙が勝つ理由/倉山満
社会システムをハックして近道をする。橘玲氏が語る「格差社会で少しだけ効率よく生き抜く」方法
韓国・李在明大統領の正体「中国にはシェシェ、日本にはカムサハムニダ」 韓国リベラルの“実用主義”とは
台湾“草食系男性”増加で変わる成人用品市場「約67.5万円のラブドールが週に70体売れた」驚きの実態
「やらなければ殺される」カンボジアが詐欺の一大拠点に…中華系マフィアが牛耳る“園区”の恐怖
日本にとってウクライナ侵攻は他人事ではない! 高校チュータイ外交官が警鐘
日本国民の税金が「テロに使われている」…パレスチナへの支援金“2,400億円”の行方とは
日本がウクライナ支援を“続けなければならない”本当の理由。日本の「ある大失敗」が関係していた
ロシアが世界からの批判をシカトし続ける“本当の理由”。ロシアの「裏」にあった意外な思想
この記者は、他にもこんな記事を書いています






