ヘリテージ財団にいた横江公美が語る「日本人が今のアメリカを見誤る理由」
これだけの専門知識と分析能力を持ちながら、横江は論敵であっても他者を批判しない。
「私は、1つの見方を提示しているだけです。変化のときには、多様な物差しが必要だと思うのです。日本がアメリカに『世界の警察に戻るのか?』と問うても、もはや議論にはならない。『どの程度のプレゼンスを世界で持つのか?』を議論しなければならない時代に入っているのです」
最強のシンクタンクの上級研究員としてワシントン政治に精通する稀有な存在の横江だが、そのキャリアは異色と言っていい。大学卒業後、一般企業に就職。その後、税理士を目指して大学院に進み、「大失恋」をきっかけに松下政経塾の門を叩いた。そして、ヘリテージ財団で活動することになる。
ところが、そんな横江の夢は、非常に意外だが「料理本を出すこと」という。2013年にはアメリカで料理の先生として現地の人に親子丼を振る舞ったという。
「パブリック・ディプロマシーが大事と説いてきたけど、実際に自分がやらなきゃダメだと思って。政治家の娘だったので、小学生の頃には10人分のご飯を用意していたし、料理が大好きなんです。アメリカでは公立学校のアダルトプログラムで、親子丼の作り方を教えました。アメリカ人には出汁は魚臭いだろうし、向こうの鶏肉も玉ネギも味が違うから、オリジナルのレシピをつくらなければならず楽しかった。苦労もしたけど、料理は人脈づくりにも役立つんです。ホームパーティに来た人は、次回も絶対に来るくらい(笑)」
パブリック・ディプロマシーとは、簡単に言えば市民外交のことだ。文化交流を通して、外国の世論に働きかける外交は、ソフトパワー外交の一環として重要度を増している。
料理だけでなく、失恋話も横江にとっては、市民外交の大きな武器になっているという。
「英語の下手な日本人が、気軽に話し合える友達を作るのは難しい。国際政治に関心の高い人とは知り合いにはなれるけど、映画を観ていて、『これ、どうして?』というような、文化の違いから生じる疑問を聞ける関係ではないんです。この種のことって、ポリティカル・インコレクトだったりするので、余程仲のいい友達じゃないとなかなか聞けない。何でも聞き合える友達ができたのは、大失恋の体験があったから(笑)。誰でも失恋は辛いものだし、いろいろな話を聞きました」
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