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「どうなったか見たい?」彼女は私のボーナスで女性器を手術した――爪切男のタクシー×ハンター【第三十話】

 帰宅して、テレビに集中している彼女に話しかける。 「ねぇ、ちょっとこれ見てくれない」 「何? わ! なんでチンコ出してんの?」 「いや、この前久しぶりにマンコ見せてくれたから、俺も見せないと不公平だなって」 「こんなのに不公平もなんもないでしょ!」 「それもそっか……ごめん」 「……」 「……」 「……ふふ」 「?」 「ねぇ、そんなに小さかったっけ?」 「あぁ、ずっとこの大きさだよ」 「ふふふ」 「ははは」 「……アホらし」 「そうだね」 「……お腹空いた」 「お前の好きな一平ちゃん買ってきたよ」 「やっぱカップ麺は一平ちゃんだよね」 「そうだ、一平ちゃんだ」 「服着てよね」  根本的な問題は何も解決していないだろう。  正直セックスは君以外の誰とでもできるだろう。  君以外の人とするセックスの方が気持ち良いだろう。  でも全裸で一平ちゃんの良さを語れるようなバカをできるのは君しかいないんだ。  この気持ち、分かってもらえるだろうか。  いや、きっと無理だろう。  でもこの先の人生で、できるだけ長い間、君と一緒に一平ちゃんを食べていきたい。  僕はバカだから、何が正しくて、何が間違っているかは分からない。  だから、目の前にある君と一平ちゃんだけは信じる。 文/爪 切男’79年生まれ。会社員。ブログ「小野真弓と今年中にラウンドワンに行きたい」が人気。犬が好き。 https://twitter.com/tsumekiriman イラスト/ポテチ光秀’85年生まれ。漫画家。「オモコロ」で「有刺鉄線ミカワ」など連載中。鳥が好き。 https://twitter.com/pote_mitsu ※さまざまなタクシー運転手との出会いと別れを繰り返し、その密室での刹那のやりとりから学んだことを綴ってきた当連載『タクシー×ハンター』がついに書籍化。タクシー運転手とのエピソードを大幅にカットし、“新宿で唾を売る女”アスカとの同棲生活を軸にひとつの物語として再構築した青春私小説『死にたい夜にかぎって』が好評発売中
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死にたい夜にかぎって

もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー!

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