ハロウィンの夜、巫女服プレイで女装に目覚めたT君――女装小説家・仙田学の『女のコより僕のほうが可愛いもんっ!!』
女の子になりたいわけでも、好きな男性がいるわけでもないが、女装がしたい。そんな欲望に取り憑かれた私の話を、この連載ではお伝えしてきた。今回からは少し方向性を変えて、私と同じようなスタンスで女装をしている男たちについて語っていきたい。
第4回 女装小説家 仙田学の「女のコより僕のほうが可愛いもんっ!!」
T君が初めて女装をしたのは、高校2年の体育祭のとき。皆で仮装をすることになり、メイド服を選んだ。もともと色白で体毛も薄かったT君は、皆から「可愛い」と言われまくった。体育祭のパンフレットの、所属していた合唱部のページには、裸エプロン姿の写真が掲載されている。その頃にできた初めての彼女からは、「私より女の子っぽいよね」とやっかまれ、ふたりでプリクラを撮ると「どっちが女の子かわからない」と周りから驚かれた。
男としての自分が揺らぐ感覚が心地よかったという。もともと運動が苦手なことに抱いていた劣等感からも、女の子になれば逃れられる。
大学は共学だった。日常的に女の子から可愛いと声をかけられるようになる。高校時代の元カノと一緒に買い物に行ったある日、不意に女装をしたくなり、女性用のカジュアルな服を一式買いこんでトイレで着替え、メイクもしてもらった。街歩きを楽しみながら、気になったのは立ち居振る舞いだ。我ながら男っぽさが目立つと感じた。
女の子らしい所作を研究し、元カノにレクチャーを頼んだ。女装をしたまま元カノと着衣セックスをしたこともある。お互いにスカートをまくりあげて事に及んだのだが、それほど興奮しなかった。自分の女装はセクシャリティとは無縁なのだとT君は認識した。
女子高生の制服を中古で買ったのもその頃だ。夏服と冬服、それぞれ7000~8000円ほど。制服を着てウイッグを被り、マスクで口もとを覆った自撮り写真をツイッターにあげた。「女の子にしか見えない!!」という反応が多数あった。
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