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名門大卒ニューハーフ嬢がヒッピーの楽園にあるマッサージ店で働く理由「就職よりも先に…」

彼女の身の上話を聞いてみると……

 サニーは当時23才。5年制であるビエンチャン大学を卒業し、この春バンビエンに来たそうだ。ビエンチャン大学といえば、日本では東大にあたる大学。そんな名門を卒業したインテリが、なぜバンビエンでマッサージなどやっているのだろうか。 「マッサージしてあげる。エッチなことはしないから」  サニーの生き方には興味がある。タダでしてくれるというなら断る理由などないだろう。 「たしかにビエンチャン大学は名門だわ。就職先はたくさんあった。実際に友人たちはエリートコースを歩みはじめているわ」  彼女の専攻は英語科ということもあり、語学力は申し分ない。経済成長真っただ中のラオス。サニーのような人材は引く手あまたなのではないだろうか。 「私が就職しないことに両親は大反対だった。一体なんのために高い学費を払ったと思っているんだと大激怒よ。でも私には就職よりも先にやらなければならないことがあるの」  サニーは持参のマッサージオイルで私の背中をなでながら続ける。 「お金がたまったらバンコクに行ってペニスを切るの。顔にもコンプレックスがあるから整形してもっと綺麗になりたい。そして、女として一流企業に就職して成功してやるわ」  サニーの顔はほとんど女性そのものだが、頬やアゴなどは角張っており、若干ではあるが男の面影はまだ残っている。ホルモンは接種していないというので、スリムではあるものの体つきはまだまだ男性のものだ。バンコクではペニスを切るのに30万円が必要だという。整形なども含めると金額はさらに増すだろう。まだまだ賃金の低いラオスで働くサニーにとっては大金だ。  しかし数日後、サニーは跳ねるように喜びながら私の元へ駆け寄ってきた。 「お父さんが手術代を出してくれることになったの。2か月後、私はバンコクへ行くわ」  手術代は負担するからさっさとチンポを切って働け、というのが父親の意見だそうだ。少々投げやりな気もするが、何はともあれサニーは女になる。  サニーのような男性はゲイというよりもトランスジェンダーの部類に入る。余談ではあるが、彼女は自分のペニスを見ることすら嫌で、オナニーなどしたことがないそうだ。医学的な診断はないにせよ、性同一性障害であると考えられる。生まれ持ってしまった自意識とは異なる性に、正面から向き合う姿がラオスの山奥にもあった。 <取材・撮影・文/國友公司>元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion
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