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ジャパニーズ・メタルバンドが“自身のバンドのテーマ曲”を持っているワケ――「BABYMETAL DEATH」「X」「LOUDNESS」…

<文/山野車輪 連載第2回>

ジャパメタが2ちゃんで話題に


 前回の記事「今や世界が熱狂する「ジャパニーズ・メタル」 長らく押し込められた暗黒の時代を振り返る」にはたくさんの反響をいただいた。2ちゃんねるでもスレッドが立ち、BABYMETALやX JAPANだけでなく、LOUDNESS、ANTHEM、聖飢魔II、VOW WOW、SHOW-YA、浜田麻里など、さまざまなアーティストの名が飛び交い、筆者としても嬉しいかぎりです。

02BABYMETAL『 BABYMETAL』

「BABYMETAL DEATH」から始まる1stアルバム『BABYMETAL』

 ところでジャパメタ・リスナーには、LOUDNESSやX JAPANはともかく、JAM Project、DIR EN GREY、BABYMETALまでも“ジャパニーズ・メタル”(“ジャパメタ”)に含めることに違和感を感じた人もいるかもしれない。

 というのも、“ジャパメタ”という言葉には、特有の音像が内包されているからである。それは、LOUDNESSやEARTHSHAKER、浜田麻里、ACTION!、BLIZARDなどの80年代に活動していたバンドやアーティストによって構築されたあの時代の音であったり、歌謡曲に通ずる臭いメロディ(「クサメロ」と称される)や、海外のRainbow、イングウェイ・マルムスティーン、HELLOWEENなどのメロディアスなHR/HM(ハードロック/ヘヴィメタル)を、ジャパメタの典型的フォーマットと考えてきただろうからだ。

 80年代に活動を開始し、歌謡曲のエッセンスが混ざったデビュー当時のX(X JAPAN)の「紅」や「X」などの楽曲は、ジャパメタの典型的フォーマットと言える。この頃のインディーズ・メタルには、ホントにクサい楽曲を持つバンドが少なくなかった。

 世界デビュー以降のLOUDNESSや、本格派ハードロックのVOW WOWは、80年代ジャパニーズ・メタルの中心バンドでありながらも、洋楽ヘヴィメタルっぽすぎて、“ジャパメタ”という言葉はあまり似合わないし、00年代以降登場したバンドも同様に似合わない。だが、この際、言葉のイメージとは関係なく、本連載では、日本のヘヴィメタルであれば、とりあえず“ジャパメタ”ということにしたい。

♪BABYMETAL DEATH、♪X……テーマ曲を持つジャパメタ・バンド


BABYMETAL DEATH

BABYMETAL DEATH公式サイトより

 BABYMETALは、コンサートにて「We Are BABYMETAL!」と叫んでいる。これはX JAPANのコンサートでの「We Are X!」のオマージュであることは言わずもがなだろう。この「We Are X!」は、X JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』のタイトルにも使用されており、また彼らのインディーズ時代には同名の楽曲もあった。YOSHIKIメロディが炸裂しつつも、IRON MAIDENのニオイも感じさせ、今からでも新録でリリースしてほしいくらいの美味しい楽曲だ。

 そしてジャパメタの黎明期には、X JAPANの他にも、大阪出身のヘヴィメタルバンド魔女卵(まじょらん)が「We Are 魔女卵」というバンドのテーマ曲を持っていた。この楽曲は、ジャパメタラーにとって重要な実写映画『魔女卵』(1984年)のオープニングテーマにもなっている。余談ではあるが、同映画のキャッチコピーは“ツッパリ魂+OSAKA=ヘヴィ・メタル・キッズ”というもので、その内容は、関西のライヴハウス“BAHAMA”を舞台に、ロックバンドのメンバーに恋したツッパリ少女が奔走する青春ツッパリメタルモノ(なんじゃそりゃ……)だった。

02魔女卵

大阪出身のヘヴィメタルバンド魔女卵のLP『MAJORAN』(著者撮影)

 話がそれたが、今回は黎明期のジャパメタ・バンドの多くがバンドのテーマ曲を持っていたという話を紹介したい。

 BABYMETALは「BABYMETAL DEATH」、X JAPANは「X」という楽曲を持っている。ほかには、Earthshakerの「EARTHSHAKER」、ACTION!の「ACTION! 100,000VOLT」、BLIZARD「BLIZZARD」、ANTHEMの「WILD ANTHEM」、聖飢魔IIの「The end of the Century」などがこれに当てはまる。

 おそらく、日本のヘヴィメタルの始祖であるLOUDNESSが、デビュー・アルバム『THE BIRTHDAY EVE ~誕生前夜~』(1981年)の1曲目に、「LOUDNESS」というナンバーを入れていたから、後続バンドらもそのフォーマットに則ったのではないだろうか。

洋楽ヘヴィメタル・バンドにもテーマ曲があった


 実はこのバンドのテーマ曲というフォーマットは、洋楽ヘヴィメタルのバンドにも当てはまる。IRON MAIDENの「IRONMAIDEN」、PRAYING MANTISの「PRAYING MANTIS」、ANGEL WITCHの「ANGEL WITCH」など、NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)に属するバンドらも自身のテーマ曲を持ち、これらはすべて1980年に発表されている。

 「ヘヴィメタル・バンドには、自身のテーマ曲がある」というフォーマットは、世界初のヘヴィメタル・バンドであるBLACK SABBATHの時点からすでにあったが、とりわけNWOBHMのムーヴメントはインパクトが大きかったのだろう。

 ところで筆者が海外ヘヴィメタル・バンドに、バンドのテーマ曲があることを認識したのは、ヘヴィメタルの世界に入門後、しばらく経ってのことだった。HELLOWEENの「HELLOWEEN」、HEAVENS GATEの「GATE OF HEAVEN」、BLIND GUARDIANの「GUARDIAN OF THE BLIND」、REACTORの「REACTOR」、HELICONの「HELICON PART 2」など、ジャーマン・メタルのバンドがテーマ曲を持っていたのである。

 当時はジャーマン・メタルのムーブメントが巻き起こっており、筆者は某ジャーマン・メタルの布教に熱心な評論家のラジオ番組に乗せられて、かなりしょぼいジャーマン・メタル・バンドまで追いかけていたのだが、レコード会社によるジャーマン・メタル青田刈りの末期は、あまりにしょぼいバンドばかりで、寂しかったことを思い出す。

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自身の名を冠するテーマ曲の源流はこれだった!

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