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安倍政権はなぜアメリカ最優先なのか? 「トランプの忠実な従属的助手」と揶揄されても…

辺野古新基地

海上で工事が進む「辺野古新基地」。

米国の「言い値」で高額な武器を購入

 昨年11月の日米首脳の共同会見で「トランプの忠実な従属的助手」と『ワシントン・ポスト』紙に評された安倍首相は、米国製の武器(防衛装備品)購入もトランプ大統領の言うがままに受け入れた。その目玉が、2基で約2000億円の地上配備型ミサイル防衛システム「イージス・アショア」。山口県と秋田県が配備候補地になっている。しかし配備されるのは5年以上も先で、そのときは北朝鮮情勢が変わっている可能性も十分にあり、米国の軍需産業が儲かっても日本にとってプラスなのかは不明瞭だ。ただし新たな基地建設利権が発生する山口県と秋田県(安倍首相の地元と菅官房長官の出身地)にとってはオイシイ話なのだ。 「他にも、辺野古新基地に100機配備予定のオスプレイは、1機100億円以上。米国製の防衛装備品導入は『FMS』(有償の対外軍事援助)となるため、米国の言い値。防衛省関係者からは『米国以外から購入すれば、はるかに安い』と疑問視する声も出ていましたが、官邸側が押し切ったようです」(永田町ウオッチャー) 《安倍政権[4大ゴマスリ]リスト》 ●ヘリ事故の調査もできない「日米地位協定」 ドイツやイタリアでは駐留米軍と交渉して、住宅地や学校上空での低空飛行や夜間飛行が規制されている。米軍機が事故を起こした場合、主権国がじかに原因調査も可能。しかし日本政府は戦後70年以上たった今も、米軍が圧倒的優位の「日米地位協定」の改定に踏み込んでいない。沖縄で危険な低空飛行などがまかり通り、沖縄県警が事故の原因調査すらできないのはこのためだ。翁長沖縄県知事は「憲法を超越するのが日米地位協定」と指摘 ●米海兵隊用の辺野古新基地建設 安倍政権は米国海兵隊のために、沖縄県北部の名護市で民意を無視して辺野古新基地建設をゴリ押し。予定地周辺は希少なジュゴンの餌場で、隣接する大浦湾では世界最大級のアオサンゴが発見された。「海を埋め立てるのは反対」という声が根強く、4年前の名護市長選や沖縄県知事選では最大の争点となった。「世界各地をローテーションで緊急出動する海兵隊は沖縄にいる必要がない」という辺野古新基地不要論は、米国からも出ている
アオサンゴ群落

辺野古新基地隣の大浦湾で発見された世界最大級のアオサンゴ群落への影響が懸念されている

アオサンゴ群落●北朝鮮有事対応 ICBM(大陸間弾道ミサイル)完成前の北朝鮮攻撃を検討する米国の姿勢は「トランプ大統領は北東アジア地域(日本や韓国)よりも米国を選ぶ」(共和党重鎮のグラハム上院議員)というもの。米朝戦争が起きた場合、日本は北朝鮮の核ミサイル報復攻撃で「死者は100万人規模」との被害推定も米国の大学が発表している。日本が捨て石になる可能性があるにもかかわらず、安倍首相は「日米は100%共にある」と繰り返すだけだ ●米国製武器(防衛装備品)購入 昨年11月の日米首脳の共同記者会見で急浮上した「米国製武器購入」は、トランプ大統領の「米国軍事装備品を大量購入すれば、北朝鮮のミサイルを撃ち落とせる」とのセールストークを安倍首相が快諾したのが発端。しかし導入が決定した巨額の「イージス・アショア」の配備完了は5年以上先で、北朝鮮情勢緊張化に乗じた押し売りに等しい。安倍首相は「トランプの忠実な従属的助手」(『ワシントン・ポスト』)と下僕扱いされた 取材・文・撮影/横田 一 写真/時事通信社 ― 安倍政権[米国ゴマスリ政策]リスト ―
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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