「10年前には考えられない」小林よしのりと中島岳志の直接討論が実現。「保守」「リベラル」とは何か? 「立憲的改憲」とは!?
「SPA!フェス」(~6/10)に、同誌で23年ぶりに連載『ゴーマニズム宣言』を復活させた小林よしのり氏が主宰する公論イベント「ゴー宣道場」が出張した。師範は小林氏のほか、神道学者・皇室研究者の高森明勅氏、ジャーナリストの笹幸恵氏、作家・ライターの泉美木蘭氏、弁護士の倉持麟太郎氏。
ゲストとして招かれたのは、東京工業大学教授の中島岳志氏。小林氏と中島氏は、10年ほど前に「パール判決論争」で激しい論争を交わした間柄だ。だが、この3月にラジオの収録の楽屋で初めて直接対面。その場で小林氏がオファーを出し、中島氏も快諾したのだという。
会場は満員。冒頭で、小林氏は「わしはずっと『保守』を自称してきているが、最近、保守やリベラルの定義がわからなくなってきた」と語り、「リベラル保守」を自称している中島氏にその定義の説明を求めた。
中島氏は「保守」の源流は「フランス革命への反発・批判」にあり、その「理性絶対主義」に対して「完成された理性を持った人間などいない」という立場から、「無名の人々が歴史の風雪に耐えて守ってきた、慣習・伝統・良識」といったものに依拠する、と説明。続いて「リベラル」の定義についてこう語った。
「リベラルは、もともとは『寛容』という意味。『価値観の違う相手のことも認めて、寛容になりましょう』という確認が原点です。『あなたの価値観は認めましょう。でも私の自由も認めて保障してくださいね』という考え方です」(中島氏)
ではなぜこれと「保守」がセットになるのだろうか?
「保守は、理性には限界があるということを知っているのが真の『理性的な人間』だという人間観を持っている。すると、それは自分にも向けられる。『自分だって間違っているかもしれない』と。自分と違うことを言っている人がいたとしたら『彼にも言い分があるだろう。まずは話を聞いてみよう』というのが保守の態度です。で、どうも話を聞いてみると、確かに彼にも理があると。ではそこで合意形成をしましょう、というのがかつての自民党がやっていた合意形成の保守政治。つまり『保守』と『リベラル』はもともとセットだったんです」(同)
中島氏によると、ヨーロッパ、特にイギリスでは「リベラル+保守」というのは当たり前の概念だったという。
「ところが日本では昨今、『保守対リベラル』と言われてしまう。これは政治学をやってきた私としては、どうも納得がいかない。本来、保守とリベラルはセットで考えられなければならない。という観点からすると、私と小林さんは一緒になってきます。安倍首相や、橋下徹さんがインチキに見えてきます。これは『保守』と名乗るべきではないんじゃないかと」(同)
一方、小林氏は薬害エイズ問題やオウム真理教などと関わってきた体験から「わしは(右や左といった)イデオロギーよりも“常識”に依拠してきた」と語った。
「わしが『ゴーマニズム宣言』で書いている根拠は庶民の“常識”。わしは世の中の知識人を誰も信じていない。わしの拠って立つ『保守』というのは、単なる“常識”。そこから見ると、安倍政権は“非常識”。それに寄り添っているネトウヨも、新自由主義も“非常識”。これはおかしい、この時代は。わしは理論の人間じゃないから、反射的に行動を起こしてきた。自分の常識、公平感、正義を語っていただけ」(小林氏)
中島氏は、小林氏をはじめゴー宣道場の師範たちとの共通点として、戦後長らく続いてきた左と右の双方による「アンチの理論」に与していないということを挙げた。
「両方に『コスプレセット』があるんです。例えば、左になると9条を擁護しなきゃならない、右になると靖国行かないといけない、というような。しかし我々はコスプレセットとは違うものを見ている。すると双方から叩かれてしまうというのが、ここにいるメンバーの現状だと思うんです」(中島氏)
ここで高森氏からツッコミが入る。
「小林さん、ここ(事前に参加者に配られた、小林氏が中島氏に聞きたいことのリスト)の中に、『右から左から叩かれて、わしはどうすればいいんですか』と書いてますね。これ、質問じゃなくて人生相談じゃないですか(笑)」
6月3日、『週刊SPA!』創刊30周年を記念して渋谷ロフト9で行われているかつて「パール判決論争」で激しく論争した2人が激突
「保守」と「リベラル」は対立するものではなく、本来セットだった
左右の「コスプレ」につき合わないからこそ双方から叩かれる
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