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「安倍晋三は100点か0点か」答えのない議論に支配される世の中

「憲法解釈を守ってきた」という内閣法制局の大嘘に騙される「右下」と「左下」

 最近、スラングで「左」「リベラル」を「パヨク」、「右」「保守」を「ネトウヨ」と呼ぶことがある。前者は「日本国が嫌いで日本政府にも批判的な勢力」であり、後者は「日本国が好きだから、日本政府の過ちも批判しない立場」である。私は前者を「左下」、後者を「右下」と呼び、両者ともに蔑んでいる。  内閣法制局などは「日本国が嫌いなくせに日本政府の権力をこよなく愛する勢力」の筆頭である。こうした「左上」の詐術にまんまと騙されている時点で、「左下」も「右下」も「下」なのである。  私などは「日本国政府を愛するがゆえに、政府の誤りは容赦なく批判する立場」、すなわち「右上」たらんとしている。だから「左下」の反対を言っているだけの「右下」など、邪魔としか思っていない。実際、「右下」の連中が「左下」とじゃれあい、間違った二択だけが世の中に流布されると、こちらの主張がかき消されてしまう。「安倍首相、法制局に騙されてはなりませんぞ」という批判すら、「右下」に聞かれると「お前は左翼か!」と暴力的な攻撃で跳ね返ってくる。のみならず、私は自宅の住所を晒されたり、某巨大掲示板で毎日5000個の悪口を書かれたりとさんざん「ネトウヨ」どもには嫌がらせをされてきたものだ。  常々「右下」どもの言動には眉をひそめてきただけに、長期化する安倍政権下での「ネトウヨ」への反感が強まるのは理解できる。理解できるだけで、何の共感も賛同もしないと断ってはおくが。  最近、動画投稿サイトYouTubeで保守系のサイトが「ヘイトスピーチ」「個人攻撃を煽っている」などの理由で次々と閉鎖に追い込まれている。どうやら「ネトウヨ」に反感を持つ輩がYouTubeの運営に通報して、工作しているらしい。もちろん「安倍政権と敵対するチャイナ・コリア・朝日新聞の悪口を言うのが正しい保守」と信じて疑わない「右下」の言論が正しいとは思わないが、「自分の気に入らない言論は発表させない」という態度は如何なものか。しかも学術的な内容の動画まで「慰安婦」とあるだけで「ヘイト」認定するような行き過ぎも見受けられる。一方でデマの垂れ流しや誹謗中傷が常態化しているチャンネルが無傷で野放しにされるような、不思議な現象も起きている。  結局、これも「好きか嫌いか」の二択でしかモノを考えられていないからではないか? <文/倉山 満>
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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